本を出したい人は古典から学んで欲しい
2006年 12月 12日
■「放送人インタビュー」の件で、演出家の深町幸男氏に話をきく。アシスタントの門脇嬢と一緒。深町氏とは30年近くの知り合いなので、やりやすいようでやりにくい。半分は雑談になってしまう。突然、話が飛ぶことと、主語がないのが、深町氏の話の特長なので、初めて話をきいた人はわかりにくい部分もある。『夢千代日記』の演出家で、多くのドラマファンにはお馴染みだろう。山田太一脚本のスペシャルドラマが新年1月27日、テレビ朝日より放送だという。最近のよくあるドラマにない、深みのある人間ドラマに仕上がっているものと期待したい。76歳にして現役。半ば冗談ながら「99歳まで頑張る」とのことです。
■このインタビューは1月、日本放送作家協会のホームページに掲載予定です。ぜひ、お読みください。
そのあと、文春ビルの裏手のビルに脚本アーカイブズの件でおもむく。帰路、地下鉄麹町駅の改札口付近で、偶然、『北京の檻』の担当編集者と出会う。「朝日新聞に書評が載ったため、ちょっと動きがありました」とのこと。一人でも多くの人に読まれることが、著者としては望ましいので、ちょっと日が差したといったところか。
■毎度感じることだが、時間の経過が早すぎる。携帯パソコンを常にバッグにいれているので、30分時間があれば「執筆」をする。ひところ「さすらいのライター」を自称していたが、まさに「さすらいながら書いている」気分だ。なかなか思うような作品に仕上がらないのが辛いところだが。ところで、ネットでいわゆる「自費出版」の問題をめぐって議論が戦わされている。具体的な社名をあげて、儲けすぎ、あこぎな商法――といった語句が並ぶ。写真家でエッセイストの藤原新也氏のブログに、この問題をめぐって「被害者」のメールが数多く寄せられている。
■本を出したい人はほんとに多いのだな、とあらためて思う。一方、本を読む人は昔に比べ相当減っている。書くためにはまず読むことが大事だと思うのだが、いわゆる自費出版した著書には「読み方が足らないのでは」と思える文章が多い。文章の要諦は、簡潔、的確が基本である。それと論理、ないし論理的な展開が必要なのだが、思いだけが先行し、結局何をいいたいのかわからないものも多い。一冊でも本を書こうとする人は、古典から多くを学んで欲しいですね。学ぶことは繰り返し読むことです。若いとき古典をあまり読まなかったぼく自身の反省でもあります。