コラム


by katorishu
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デジタルもアナログも一長一短がある

 12月19日(月)
■睡眠不足であったが、そのまま国会図書館に。都新聞などをマイクロフィルムで読み、必要な箇所のコピーを頼むのだが、ある時期から日を追って見ていくので時間がかかり、目がショショボになる。一方、読売新聞は戦前と戦後のある時期までデジタル化されているので、キーワードで検索すると必要な項目が一挙に画面にでる。

■その記事だけを拡大してコピーすることも可能だし、手数料もマイクロフィルムの新聞の数分の一ですむ。資料として使う側にたったら、デジタル化したもののほうが圧倒的に使いやすく、10倍も効率的である。図書館側の係員がいちいちコピーをとる必要もなく、調べる人がクリックをすればあとは機械が自動的にプリントしてくれる。

■だったら、資料をすべてデジタル保存すればいい……と事情を知らない人は思うかもしれない。ところが、デジタル化には「長期保存」を考える場合、まだ大きな問題がある。最大の問題はデジタル器機の急速な進歩により、一旦保存した情報が10年、20年たつと「呼び戻せなく」なってしまう可能性があることである。情報をアウトプットする器機が日進月歩でかわっていき、また保存方法も急速に進化している。ソフトによく「……バージョン」という言葉があるが、同じソフトでも古いバージョンで保存したものを新しいバージョンのソフトでは開けなくなるものもある。

■デジタル機器の関連企業が古い機器の生産を継続すれば問題も少ないのだが、自由競争のなか、より売れる製品の開発に企業は必死だし、結果とし古い機器そのものがなくなってしまう。すると、情報を呼び出せない。
 
■情報が少なければ、その都度変更しすればいいのだが、厖大な情報の場合(多くの情報がそうだが)、更新する作業に莫大な時間とエネルギー、経費がいる。そんな事情もあって、「アナログ」のマイクロフィルムやマイクロフィッシュで保存するのが、現在の保存技術では主流であり、もっとも安全ということになる。
 アナログかデジタルか。むずかしい問題であり、一長一短である。脚本アーカイブズにかかわっているので、情報保存の技術等の敏感になる。

■ 年の瀬で、街にはなんとなく慌ただしさが漂っている。「持ち時間」が少なくなっているので、忘年会等は極力さけているが、それでもあと数回は予定している。人と人が直接会って、息を感じられる距離で話したりすることは大事である。だらだらと時間つぶしで終わる集まりもあるが、それでも「おや」と思われることもあるし、「なるほど」と納得し、人はさまざまであると実感することも多い。ぼくは「情報」の7,8割は活字から得ており、1割が映像から、そうして1割が直接会って……といったところか。

■人を会うと、ついしゃべり過ぎるので、なるべく発言は少なくし相手にしゃべってもらうよう心がけている。人の心とは複雑微妙なもので、こちらの「態度」「姿勢」次第で、相手は応対の姿勢をかえる。じつに千変万化といったふうに変える場合もある。ドラマというのは人間の「関係」の微妙さを描くものだが、脚本家としては時折、意地悪い気分になって相手が反発しそうな質問をしたりもする。広い意味の「人間研究」を終始やっているといってもいい。いくつになっても、「人間とは何なのか」という問いに明確な答えをだせない。だからこそ好奇心が動き、それがエネルギーになるのかもしれない。
by katorishu | 2006-12-19 01:01