コラム


by katorishu
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レクラム舎の公演、別役実「場所と思い出」を見る

 1月11日(木)
■劇団レクラム舎の公演「ベンチ3」を見る。世田谷松陰神社近くの住宅街の中にある小劇場で。別役実作の「場所と思い出」と、小松幹生作の「冬の夜ばなし」。
 1時間10分ほどの別役作品が圧倒的に面白かった。別役作品を見たのは、渋谷の公園通りにあった「ジャンジャン」での公演以来だから、20数年ぶり。

■バス停でバスを待つセールスマンが、地元の「夫をなくした」という女から話しかけられるところから、話がはじまる。別役流の一種の「不条理劇」といおうか、人間関係がちょっとした言葉のアヤでどんどん崩れたり変わったりして妙な関係におちこんでいく――。さらに登場する第二の女、そのほかが「奇妙な味」をだしていた。
 今回はレクラム舎の役者以外の客演が多かったが、別役劇をうまくこなしていた。演出は青柳敦子。男1の酒向芳がいい味を出していた。それにからむ二人の女、小野田由紀子とテアトルエコーの小野寺亜希子も、独特の味があり、ひきずりこまれた。

■小松さんのほうは「若い観客向けのサービス」というか「つけたし」の観が強かった。終わって、代表の一功さんほかと近くの酒場で軽く飲み懇談。見に来ていた松金よね子さんなども一緒に。芝居の話が中心で、今年の公演の話ほか、もろもろ。みなさん「今日の別役作品の出来がよかった」ことで意見が一致する。昼間も公演があったのだが、スタッフによれば、その回のほうが「もっとよかった」という。

■レクラム舎は30年つづく小さな劇団。これだけ続く劇団もめずらしい。初期のメンバーは一功さん一人。それと夫人で役者のワカちゃんの二人で支えている。去年、第二子が誕生したそうで、「息子が20歳になるとき、こっちは70すぎている」とか。エネルギッシュに続けていって欲しいものだ。次回作が楽しみである。
 生のイキが感じられる小劇場の芝居はいい。独特の空気があり、3日の初演以来、ほぼ満員に近いという。いってみれば「ブロードキャスティング」に対する「ナローキャスティング」である。
 5感で体感できることが、どんどん社会から失われている今、こういう舞台は貴重だと、あらためて思ったことだった。

※最近、ブログをアップすると、トラックバックに「エロサイト系」が自動的に入ってくることが多い。メールにも増えています。無視していますが、この撃退法というのは、あるのでしょうか。
by katorishu | 2007-01-12 06:04