コラム


by katorishu
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社会に「マイナスのマグマ」がたまり「危険水域」に近づいている

1月16日(火)
■飯田橋で某編集者と打ち合わせ。出版界も長い不況がつづき、不況が普通になっている。去年から今年にかけて、単行本のほうはまあまあの線をいっているのに対し、雑誌が落ち込んでいるとのこと。インターネットの影響をもろに雑誌が受けているのだろう。
 長く「暖めていた」「とっておき」の企画を渡しかたがた軽く飲食。新書でだせばそれなりの「ベストセラー」になる内容なのだが、さてどうなるか。企画の取捨選択について、最近は「営業」が強い発言力をもっているようだ。彼らに「時代を見る目」と「胆力」があるかどうか……。

■不二家の消費期限きれを使ったシュークリーム製造問題と、政治家の金銭疑惑問題。本日もニュースの焦点だが、この件についてはまだまだいろいろとボロが出てきそうだ。社会のリーダー格の人や組織の劣化は相変わらず続く。
 不二家は雪印の二の舞になる可能性が強い。雪印のときと同様、下請けの中小企業やフランチャイズを経営している人たち、そこで働く従業員はたまらない。

■雪印の問題が起こる前のことだが、久しぶりに再会した旧友が雪印に勤めていた。問題が起きる前のことで、旧友は雪印という会社について「良い会社である」と語っていた、と記憶する。あれから間もなくして雪印の不祥事が起きた。
 その後、漏れ聞こえてきた噂では彼は雪印がつぶれる前に定年退職を迎えたので、退職金もちゃんともらったという。「危なくセーフ」であったと話していたというが、一方で「助からない多くの人」がいた。

■「団塊の世代」をふくめた以前の退職者と若い世代の「確執」につながる問題でもある。「旧世代」は(といっても公務員や大企業のサラリーマンにほぼ限られるが)、結構な退職金を受け取り、手厚い年金をもらい「優雅な」生活をしているのに対して、次の世代はそんなものを期待できない。そればかりか、そんな「優雅な世代」を下支えしなければならない。若い世代が「やってられるか」という気持ちになるのも、わかる気がする。さらに「旧世代」でも「恩恵」から漏れた人たちも多いのである。

■彼らの「欲求不満」は今、深く内攻して「マイナスのマグマ」となってたまっている。マスコミはあまりこの「マグマ」に触れないが、そろそろ危険水域に近づきずつある、とぼくは感じている。
 環境問題、地球温暖化も脅威である。「自分たちだけがよければ」という考えでは、今地球がかかっている「病気」を治すことができない。本日の筑紫哲也ニュースでもアメリカのゴア元副大統領を招いて地球温暖化の恐ろしさを特集していた。

■アメリカ的な「企業論理優先」のグローバリゼーションの経済では、早晩、人類は自滅にむかう。日本はむしろブレーキ役にならなければいけないのに、小泉政権以来、政府も財界もひたすらアメリカ頼みアメリカ追従である。
「死ぬまで生活を保障されている」(と思っている)、一種の「既得権益層」には、どうも「マイナスのマグマ」の音がとどかないか、聞こえていないようだ。
 
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 NHKのラジオ第一放送に「ラジオ夕刊」(月から金の18時より)という報道・情報番組がありますが、明日16日の「ラジオ夕刊」に、ゲストで生出演します。「脚本家・作家・ノンフィクション作家」としての仕事について15分ほど雑談的に話します。
by katorishu | 2007-01-16 23:52