コラム


by katorishu
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アパホテルの耐震偽装事件、行政の遅すぎる対応

 1月25日(木)
■耐震偽装問題でイーホームズの藤田社長が早くから「アパホテル」の建物の「耐震偽装」を指摘していたが、ようやく国交省が認めた。そのためマスコミが一斉に報じた。田村水落設計の検査をしたことがあるので、藤田社長は以前から気づいていたという。藤田社長はアパグループが建設販売しているマンションについても耐震偽装であると早くから指摘していた。

■藤田社長はこの件で総理官邸に直接足を運び、安倍首相に「直訴」しようとした。この模様をホームビデオで撮影していた人がいて、今でも「ユーチューブ」などで見ることができる。マスコミ等が報じない情報を、「一市民」がビデオで撮影し、ノーカットで世界に向けて発信したのである。インターネットの普及がなければあり得ないことである。彼は著書もだしたので、行政も見て見ぬふりができなくなったのだろう。

■ぼくも以前、シナハンでいった金沢で一度、アパグループのホテルに泊まったことがある。宿泊代はプロデューサーが払ったのでいくらであったか知らないが、「安手のホテル」という印象であった。女社長がテレビのCMに直接出たことから、有名になったホテルである。本日初めて知ったのだが、アパグループの後援会長が森喜朗元首相であるという。さらにアパグループの代表(女社長の夫)は安倍首相の後援会「安晋会」の副会長であるという。道理で指導官庁の腰が重かったわけである。

■耐震偽装問題に関しては、恐らく多くの建築関係者がからんでいる可能性もあり、一説にはあまりに多くありすぎ、すべてを公表するとパニックなるので、政府も国土庁も曖昧なままにしているとか。怖いことである。
 バブル時期に建設されたマンションの相当部分にこの類のマンション類があるようだ。当時の公共工事もひどいもので、そこでアルバイトをしていた某劇団員から以前こんな話を聞いた。
「現場はかなり無茶苦茶でしたよ。トラックで砂利や木材なんかを運んできても、おろさないでそのまま走り去るなんてことがよく行われたましたね。もちろん、書類ではそこにおろしたことになっているんです」
 当然の結果として手抜き工事が行われることになった。

■日本人の美徳であった「職人気質」が息の根をとめられたのは、バブル時期であったと思う。バブルに踊った親たちの背中を見て育った子供が、今や社会の中堅になろうとしている。一度、途絶してしまった「伝統」を復活させるには、大変な時間がかかる。この先、日本社会は一層のモラルの低下に悩むことになるに違いない。

■本日発売の週間新潮によれば、例の「あるある大事典」に深くからんでいる某大物構成作家や有力プロデューサーは、番組で取り上げる商品の関係企業に前もって情報を流していた疑いが濃いという。従って、某大手スーパーでは放送前から納豆が「ブーム」になるのを見越して大量に仕入れていたとか。問題が発覚する前に「売り抜けた」可能性が強い。

■情報を提供するかわりに何らかの「見返り」を期待するのは「業界の常識」である。テレビ電波は公共のもので、国から許認可権を得ているのである。薄給で劣悪な状況で働く下請け孫請けの制作会社の社員の上で、果実をむさぼっている一部の「既得権益者」。「情報バラエティ」番組が増え、テレビが商売に強い影響力をもつようになって「癒着」が多くなったという気がする。この種の番組は「長いコマーシャル」といってもよいくらいだ。

■どんな分野、どんな業種でも似たようなものだが、権力構造が固定すると腐敗するものである。仮にぼくが権力をもった位置についたとして(100パーセントありえないが)、清廉であり続けられる自信はない。
 ときどきガラガラポンをして、権力構造を変えることが必要なのである。ここは民主党に頑張ってもらって参議院選では与野党逆転して、たまりにたまった腐臭を吹き飛ばしてもらいたいものだが、民主党にしても角田参議院議員が朝鮮総連などから献金をもらっていると報じられたり、金銭面でかなり怪しくなってきた。即刻角田議員は参議院副議長を辞任すべきなのだが、本人は辞めないといっているそうだ。こんな調子では民主にも期待薄である。かといって、他は……いやはや、である。
 かくて汚濁にまみれたまま「タイタニック・日本丸」は破滅に向かってカジを切ることもなく進み、船上では「紳士淑女」を気取ったイナカモンが謡ったり踊ったりポーカーゲームをしたりしている。
by katorishu | 2007-01-26 03:26