コラム


by katorishu
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「3世議員」は100年間、税金で食ってきたという鈴木宗男議員のわかりやすい言葉

  2月3日(土)
■「朝日ニュースター」の「ウワサの真相」をときどき見るが、日本社会の暗部、とくに権力の負の部分をえぐり出していて面白い。本日、深夜見たのは再放送でタイトルは「安倍政権の”美しい国”の虚妄を剥ぐ!」。出演者は元参議院議員の平野貞夫氏、政治評論家の中村慶一郎氏、政治学者の山口二郎氏、評論家の佐高信氏、ノンフィクション作家の佐野眞一氏で、「編集長」は雑誌「噂の真相」の元編集長の岡留安則氏、キャスターは小西克也氏。

■2時間にわたって「格差社会」を中心に論じ、見応えがある。娯楽に傾く地上波テレビでこういう番組をつくることは、現状では不可能に近い。
 鈴木宗男議員のインタビューが挿入されたが、面白いことをいっていた。小泉純一郎氏も安倍晋三氏もともに「3世議員であり、いってみれば彼らは父、祖父の時代もいれて100年間、税金で食ってきたということだ。そのため、立場の弱い人の気持ちなどわかるはずがない」とのこと。非常にわかりやすい言葉で、本質を突いていた。

■「格差社会」の現実は彼ら「苦労知らず」の世襲議員の想像を超えており、社会の安定が失われ、崩壊の傾向を強めるほど危機的状況をもたらしている。東京にいて、世襲の恩恵をうけている人に、「弱者」の気持ちなどわかりようがない、と平野氏は語っていた。
 世襲の禁止、および「多選」の禁止……という法律をつくるなどして、一部「勝ち組」にブレーキをかけないと大変なことになる、とどなたかが話していたが、説得力がある。 小泉政治の本質はアメリカの要求する「年次報告書」をアメリカのいうままに実施したことである、と一様に参加者は話していた。その通りであり、実現のために果たした竹中平蔵氏の役割は大きい。昔流の言い方をするなら「国を売る人」つまり「売国奴」などといわれたものだ。安倍政権が「小泉路線」をそのまま踏襲し、「強者優遇」の「アメリカ化」政策を続けるなら、支持率は更に落下するにちがいない。

■新宿シアターサンモールでの公演『オーロラ宮異聞』を見た。西木正明氏の同名の原作の舞台化で、脚本・演出は永島直樹氏。西木氏が原作プロデュースとして名を連ねている。知り合いの役者の松岡みどり氏と住吉正博氏が出演しているので見にいった。大正から昭和初期の満州で「女郎」になり、その後、馬賊の棟梁の一人になった実在の日本人女性の物語である。旧知の舞台関係者、脚本家、制作会社プロデューサーなどの顔があり、終わって近くの「さくら水産」で軽く飲食した。

■久しぶりの顔に会って歓談できたのはよかったが、この舞台の評価となると、厳しい声が多かった。ぼくの評価も同様で、率直にいえば「あらすじ」を舞台化したような印象で、ドラマティックな面白さや深みに欠けていた、といわざるを得ない。原作は大変面白いものであるという。その魅力が舞台には残念ながら出ていなかった。関係者でこのブログを読む人がいるかもしれませんが、お世辞をいってもはじまらないので、率直に記します。
 現実に創っていると、引いて見ることができず、良いか悪いかわからなくなるものだが、それにしても……である。白紙の観客(読者)に感銘や感動をあたえることは容易ではなく、「言うは易く、創るは難し」なのですが。題材は面白いので、例えば「井上ひさし」脚本で「こまつ座」で上演したら、極めて面白いものになるだろう。舞台も脚本が大事、とベテラン役者の内山森彦氏と話したことだった。
by katorishu | 2007-02-04 13:33