コラム


by katorishu
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インドが食糧輸入国に転化の衝撃

 2月10(土)
■雑誌『選択』の最新号に、「世界の食糧事情がさらに窮迫」というルポが載っている。インドが食糧の輸出国から輸入国になったとのことで、「ついに恐れていた事態がやってきたというべきだろう」と筆者は記している。(この雑誌の筆者名は記されていないことが多く、新聞社の外信記者や外務省関係者が書いているケースが多いのではないか)
 中国に続いて世界第二の巨大人口をかかえるインドが食糧の「輸入国」にかわることの意味は大きい。インドの人口は「少子化」に悩む日本などと違って増加を続けている。

■インドは世界第二の小麦の生産国でもあるが、農業インフラについて政府が手をぬくなど農業政策の失敗で、生産が消費量に追いついていけなくなっている。世界人口の16パーセントをしめてるインドの降雨量は、世界の4パーセントしかなく、水資源の確保がむずかしくなっているという。

■インドというとIT技術が盛んで「発展」というキーワードが先行しがちだが、食糧問題ひとつとっても深刻な問題をかかえている。インドの人口はいずれ中国を抜いて世界一になると予想されており、世界的な食糧危機の引き金になる可能性も強い。すでに中国は食糧の輸入国になっている。この先にあるのは食糧争奪の争いである。石油資源も枯渇するし、この先、人類は一体どうするつもりなのか。動きはじめた文明の巨大な歯車はとまりそうもない。
 このままでいくと、ぼくの生きている間に「見たくない光景」の出現する確立がだんだん高くなる。長生きをしたいようでもあり、したくないようでもある。

■本日、NHKで「団塊、大量退職へ」というタイトルの3時間におよぶ討論番組を放送していた。途中から、とびとびに見ていたのだが、スタジオに呼ばれた「識者」のほか「団塊世代」の男女、その他の世代の人が、かなり熱い議論を戦わせていた。
 団塊の世代を大きくわけると二つになる。ひとつは、定年後「結構な蓄えもある」ので「遊んで暮らす」「趣味に生きる」という人たち。もうひとつは、70、80になっても元気なうちはとにかく働く。それが生き甲斐の人もいるし、働かなければ生活できない人もいる。
 
■遊んで暮らす、など本当に面白いのか、と「死ぬまで仕事」のぼくなど思ってしまう。社会とのつながりを失って遊んで暮らしても、長くは続かず、退屈してしまうのではないか。
 もっとも、生活のため「いやでたまらない」仕事を続けている人にとっては、早く苦役から逃れたいのかもしれない。苦役のような仕事を何十年も続けてきたとしたら、皮肉な意味をこめて「ごくろう」なことである。
 社会のどこかで役だっている行為、世のため人のためになる仕事は、苦しいこと大変なことがあるにしても、概ね、やり甲斐があるはずである。
 少々の「苦」がなければ「楽」もまたないのではないか。どうも「楽」ばかりを追い求める人が多すぎる。安易な手段で得られた「楽」など、たかが知れている。「苦」を乗り越えたときにこそ、本当の「楽」があると思うのだが。昔の人は「この世は苦労の娑婆」といっていたが、今も本質は変わらない。
by katorishu | 2007-02-11 01:13