携帯契約1億突破で、個人の孤立化は深まるのでは
2007年 02月 11日
■過日の新聞報道によると、携帯電話の契約数が1億件をこえたという。複数の携帯をもっている人もいるが、日本の人口は確か1億2000万ほどだから、ほとんどの日本人が携帯をもっていることになる。幼児をのぞいて、携帯を所持していない人を探すのがむずかしいくらい、携帯は日常のツールとなった。
■単なる通信の手段ではなく、「お財布機能」やテレビを見ることのできるワンセグ等々、高機能化がすすんでいる。ぼくも機種を変えるついでにワンセグにした。試みにテレビを見ることがあるが、そこまで携帯に頼ることは避けたいと思っている。
もっとも、この春、配信を開始するauの有料「携帯小説」のサイトに間接的ながらかかわっているが。
■新聞によると、小学生の約24%、中学生の66%、高校生の96%が携帯を保有し、中高生の約25%(男子高校生のみでは約49%)が携帯やパソコンでわいせつな画像を見たことがあると回答した調査結果もある、という。
便利さの裏に問題もいろいろとあるようで、これから先、携帯が犯罪に使われ、モラルの低下、さらには脳機能に問題を生じる恐れもなしとはいえない。
生活習慣病の例のように、20年、30年という時間を経過してはじめて顕在化することもあるのである。
■一部の脳生理学者が、デジタル機器に日々長時間接することの弊害について警告している。「脳内汚染」の著者の岡田尊司氏によると、ゲームなどを日々、長時間つづけている人の脳細胞は覚醒剤中毒の脳と酷似しているという。
ぼくなど、執筆作業をいれると1日平均10時間ほどパソコン画面を見ているので、恐らく覚醒剤脳に近い状態になっているのかもしれない。
■岡田氏は脳生理学者で、京都にある医療少年院で犯罪を繰り返し犯す少年などの脳の研究をして結果、そんな説をのべているのである。マスコミではあまり岡田氏のような警告を報じない。ゲーム機器メーカーやソフトメーカー、さらにはパソコン関係の産業にとって、そんな説がひろがると「商売あがったり」になるため、広告に依存するテレビはもちろん、新聞、雑誌も天にツバすることになるので、なかなかとりあげない、と岡田氏は著書で嘆いていた。
便利さの裏には必ず、便利さの裏返しの弊害があることは、頭の片隅にいれておいたほうがいいだろう。
■それにしても、大変な時代になったものだ。あまりに膨大な情報をあびせられるあまり、人はかえって情報に鈍感になり、大事な情報、必要不可欠な情報を見落とすことも増えている。
携帯の普及と進化によって、個と個が「結びつく」のではなく、ますます「個」と「「個」は互いに孤立していくようだ。群れて住むことによって発展してきた人間社会に、この先どのような変化、進化をもたらすのか、神のみぞ知る、であるが。
人間の原点は「自然の中で生きる動物の一種」である。このことを忘れると、そのうち大きなしっぺ返しをうけることになるだろう。