コラム


by katorishu
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山梨日日新聞の論説委員長が社説を盗用とは、驚き呆れるばかり 

 2月20日(火)
■ヤフーのニュースを見ていたら、山梨日日新聞の論説委員長が社説で人の書いたものを盗用していた問題で、社長が辞任したとの記事が出ていた(時事通信)。
 小なりとはいえ新聞の論説委員長は新聞編集の要であり、社説に対して全責任をもつ。小林広論説委員長(56)という人物で、2004年1月以降、16本もの盗用があったという。同社はこの論説委員長を懲戒解雇したとのことだが、あきれてものもいえないとはこういうことをいうのだろう。

■もう何年も前から新聞記者の書く能力が落ちていると、よく耳にした。確かに、その反映なのか、記事などの盗用、捏造などが目立つ。昔から記事のでっち上げはあるが、社説を書くひとが盗用して社説で堂々と発表するような愚かしいことは、これまで聞いたことがない。社会の劣化はこんなところにも端的に表れているのである。

■盗用した論説委員長は恐らく、社説が書けなくて苦し紛れに盗用したのだろう。書きたいこと、訴えたいことがあれば、いやしくも文筆のプロであったら、現今の新聞の社説に書かれている程度のことは、数時間で書けなくては。いろいろな分野で「アマチュア」の技量しかない人が「プロ」として通用している時代なので、こういうことが起こるのかもしれない。

■大変微妙な問題で、厳密に精査したり、いろいろな角度から検討を加えなければならない素材もあるだろう。そういうものは、一週間でも一ヶ月間でも一年かでも時間をかけて書けばよいのである。
 新聞社には分野ごとに専門記者がいるはずで、そういう人が豊富な経験の上で論説委員になったりして社説や論説を書くのである。

■学芸部一筋にやってきた記者に国際政治について数時間で分析しろというのとは、ワケが違う。政治部一筋でやってきて映画や芝居も見ていない人に、映画や美術のついての社説を短時間で書けといっているのではない。指導的な立場にいる人の劣化は、影響力も大きいので、タチが悪い。
 なぜこんな愚かなことをしでかしたのか、一度、小林論説委員長(元か)にあって真相を聞きたいものである。
 
■最近、学生の論文やレポートに、インターネットの記事や論文等を「コピーし」「ペースト」して作成するものが急増しているという。何人もの生徒が、ほとんど似た調子の論文を提出したりするので、教師はすぐにわかるそうだが、最近ではアマチュアでもかなり専門性のある論文等をブログなどに発表しており、そういうところから引いて、適当に目くらましをかけると、担当教官も見抜けなくなる。
 その類の論文やレポートを書いて卒業した人がマスコミなどに大量に入ってくると、先行き、一層、盗用記事、盗用コラムが氾濫することになるかもしれない。コピー、ペーストして「書いて」も、そんなものは血肉にならないし、将来のためにもならない。パッチワークのように「つなげ」る技術、ごまかしの技術だけは巧みになるかもしれないが。
by katorishu | 2007-02-21 00:13