コラム


by katorishu
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 浅野史郎氏、出馬で面白くなった都知事選

 3月4日(日)
■春を思わせるいい天気だった。予定していた原稿がまったく予定通り進んでいず、資料を使う仕事なので、一日中家にこもって仕事をしようと思ったのだが、結局、陽気につられ家を出て、散歩もかねて20分ほど歩き大井町駅周辺までいった。
 飲み屋等は「異様に」といっていいほど多い街だが、本屋や喫茶店、コーヒー店などが少ない。駅近くにあるスターバックスは高校生や大学生の「勉強室」になっている趣で、とにかく席がない。長居をされて店も困惑しているのではないか。

■ブックオフで10冊ほど買った。2800円ほどの支払い。いずれも執筆の資料である。読みながら線をひいたりページを折ったり時に破ったりもするので、使用済みになっても売ることはできない。実に中身の濃い本が安価で手にはいる。安価で売られるということも意味し、書き手としては喜んでいいのか悲しんでいいのかわからない。

■都知事選に前の宮城県知事の浅野史郎氏が出馬を決めたようだ。先に建築家の黒川紀章氏が出馬を表明しているし、俄然、面白い選挙になりそうだ。浅野氏が無党派にこだわり、民主党からの推薦を拒否していることから、民主党では海江田万里氏を――という声もあるようだが、海江田氏の出馬は現職の石原知事を利するだけである。そんなことをしたら、民主党は多くの国民から見放されるだろう。

■当初、石原氏もいろいろと思い切った都政改革を行い、それなりの評価もできるのだが、「長期政権」になって「驕り」が看過できないほど目立ちはじめた。身内を重用するなど、権力者としてもっともやってはいけないことである。側近政治の弊害も顕著であり、黒川氏の批判はうなずける。ここは退陣していただき、油の乗りきった浅野氏の斬新な手腕に期待したいものだ。「格差社会」の解消などを重点政策においていることも、納得できる。

■どんな政党、どんな「偉人」でも、長期政権はマイナス面を必然的にもたらす。このことをもっと多くの国民が知ってもらいたいものだ。
 日本の首都を変えることで、至るところに劣化が目立つ日本を「言葉の本当の意味で」変えないと、さらに劣化は進み、取り返しのつかないところまでいってしまう。

■貧しい者はもちろん、富める者も、「生きている実感」をつかめない人が急激に増えている。「生き甲斐の喪失」が、社会の劣化の根底にある。これを正すのはそう簡単ではないが、まだ正すことができるはず。正すことが可能な「限界点」が、環境汚染問題ともども目前に迫っている。不安心理を増大させる「競争社会」「競争原理社会」では、引き返し不可能な限界点に一気に向かってしまう。

■「唯物史観」を根っこにおく「旧左翼」でもなく、現今の「市場経済原理主義」でもない、「節度をもった共生社会」。それこそが、21世紀日本の生きる道であり、外国にモデルを探すとなると、「リベラリズム」を根底においたヨーロッパ型社会に近いものである。さらに日本独自の文化を加味したもので、当然、「経済成長最優先」ではなく環境との調和を配慮した「リサイクル」型社会となる。
 ところで、懸念されるニュースが伝えられた。中国の国防予算が過去19年間二桁成長をつづけているという。アメリカなどと同様「経済成長最優先」政策に加えて、軍事拡大路線をとり続けている中国。言論の自由がなく共産党の一党独裁国家というのも、怖いし、問題である。超大国アメリカの「覇権主義」や北朝鮮の核問題と並んで、まことに憂慮すべき事態であるといっていいだろう。
by katorishu | 2007-03-05 01:46