コラム


by katorishu
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株価暴落等で、ますます昭和初期に似てきた今の世相

3月5日(月)
■株価下落が止まらない。自分は株などやっていないし、バブルが弾けるのは良いことだ、などという人もいるようだが、世界同時株安が今後も続くとなると、深刻な事態になる。1929年の世界大恐慌の際も、当初はあれほど深刻になるとは金融の専門家でもまったく予想していなかった。忘れてはいけないことだが、あの経済危機が第二次大戦の遠因になったのである。経済と戦争は密接に結びついている。

■バブル経済のときもそうだが、加熱した経済の「落としどころ」というのは難しい。一気に冷やすと、当然のことながら多大の「血」が流れる。最も深刻な影響をこうむるのは、いつの時代も、社会的に弱い層である。さらに株価下落が続くと、いろいろなところに悪く波及していく。つくっても物が売れない、客がはいらない……という状況になり、資本力のない中小零細企業はひとたまりもない。
 公務員やこれに準じる層に影響が及ぶのは「最後の最後」であり、そこに至るまで多くの中小零細経営者やそこの授業員、さらには失業中の者たちが大変な目にあうのである。当然の結果として、自殺者が急増し、犯罪は増え、モラルも一層崩壊するだろう。

■エコノミストと称する人たちが今回の世界同時株安について、テレビなどで「脳天気」なことをいっている。「風評」で一層の下落をさけるために敢えて「楽観的」な見通しを振りまいているのだろうが、素人目でも、かなり危ない。
 以前から懸念されていたことだが、加熱した「中国バブル」がいよいよ崩壊現象を起こしはじめたのかもしれない。中国のバブル経済が崩壊に向かえば、中国に相当部分を依拠している日本はもちろん、アメリカやEU諸国も深刻な影響をうける。

■加熱する中国経済を、どうやって「冷やし」て「まっとうな線」に着地させることが出来るか。一党独裁の軍事大国で「中華帝国」の尾てい骨をひきずる「大国」だけに、舵取りは大変むずかしいだろう。
 上海の株価低落がひきがねとなって世界に影響をあたえたことについて、テレビに映った中国人が「それだけ中国経済が強くなった証拠」であるとして、誇らしく話していた。
 事実その通りなのだろうが、こういう「悪影響」は願い下げにしてもらいたいものだ。

■仕事で資料等を調べていて、以前から「現在」と「昭和初期」の世相には類似点が数多くあると思っていたのだが、今や経済状況まで似てきたようだ。昭和初期、「エログロナンセンス」の背景に「刹那的」なものが流れていたが、今の日本にも「刹那的」な空気が色濃く流れている。
 これは危険な兆候である。経済が混乱しモラルが崩壊すると、「これではいけない」という声が高まり、強いリーダーシップをもった人が「秩序回復」のために出現する。彼はたぶん声を大にして、「乱れ堕落した世を救おう」とのたまうだろう。

■演説上手でメリハリがある「カリスマ的人物」が現れ「救国」を訴えたら、世の流れは一気にそちらに傾く。そこに生まれるものがファシズムでないという保証はない。声高な「救国」の声にファシズムはよく似合うのである。
 現代のファシズムは、恐らく宗教的装いを凝らして現れるだろう。精神世界とかスピリッチュアルとかカルト的な空気とかは、ファシズムの恰好の「栄養素」になりそうである。占いや「エセ科学」も流行のようであるし、かなり懸念される世相になってきた。
by katorishu | 2007-03-05 23:20