コラム


by katorishu
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結果も大事だが、プロセスはもっと大事

3月13日(火)
■寒い風が吹いた。寝不足で体調もすぐれず、こういう日はずっと家で本を読んだりDVDで映画を見たり、仕事をしたりすればいいのかもしれないが、郵便局に速達を出す用事ができ、外へ出ることになった。古い市街地の旧東海道ぞいには高いビルがないが、大工場などの跡地にたった高層ビル群の間を歩くと、「ビル風」が吹き下ろし、寒さが身にしみる。日本海ぞいの地域はこんな気候は「暖かい」と感じられる程度なのだろう。
 そういえば、最近、日本海をまったく見ていない。数年前、金沢から能登半島の付け根あたりまで「シナハン」をしたきりである。映画のシナリオを書くためであったが、あの映画もいまだに制作にとりかかれないようで、シナリオは氷漬けになっている。
 このごろ、そういうことが多い。

■全日空の飛行機が高知空港に着陸しようとして前輪が出なくなり、結局、胴体着陸を行った。起きてラジオのイヤホンを耳にあてたとき、実況中継で着陸の模様を報じていた。無事に着陸に成功したようで、ホッとした。考えてみれば、飛行機も昨年、釜山に行くとき乗って以来、利用していない。飛行機に乗るたび、必ず「落ちたら」と思ってしまう。どうも飛行機は苦手である。地にしっかり足をつけて生きていた「縄文人」の血が流れているのか、空も海も少々苦手である。

■飛行機ができて世界は狭くなり、短時間で地球のほとんどのところへ行けるようになったが、果たしてそれで人は幸せになったであろうか。飛行機のない時代、たとえば船で一ヶ月近くもかけてヨーロッパなどに赴く人には、もっと夢があったはずだ。旅は冒険であり、よく水杯などをかわした時代もあったが、不安と同時に何かを発見するという期待感もあったのではないか。
 未知のことへの強い好奇心は、エネルギーの源泉であり、生きるバネになるものである。

■時間をかけて知恵をしぼって「対象」にたどりつくことと、簡便に短期間にたどりつくこととの間には、大きな差がある。結果も大事だが、もっと大事なのがプロセスなのだと思う。「生きる」とはプロセスなのだから。個人の「命」の結果は、強者も弱者も富者も貧者も等しく「死」をもって終わり、これは動かし難い宿命である。
 プロセスは当人の意志や努力で、かなりの程度、変えることもできる。ところが、死という「結果」は変えられない。

■人類は簡易さ安直さをすすめる過程で、なにか大事なものを失ってきた。急ぎすぎるのである。先は先へと行きすぎるのである。「道草」という言葉もすでに死語になっているようだが、人生は道草の連続ではないのか。そういえばこのブログのタイトルは「道草日誌」でした。本日は脳の働きも鈍く、仕事はほとんどはかどらず、「道草」の一日であったが、それも良しと思うことにしょう。
by katorishu | 2007-03-14 02:05