コラム


by katorishu
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

JAL労組から流れた「醜悪」なデータ

3月15日(木)
■本日夕方、京浜急行とつながっている都営地下鉄浅草線にのっていて、泉岳寺駅であったか扉が開いて乗り込んできた女性客が、「この人、私を蹴りました」と大きな声で叫んだ。本を読んでいた目をあげると、30半ばと見られる女性が顔を真っ赤にして扉の前に立つ若い男を指さし、さらに「あのガムをかんでる人です。私を蹴ったんです」と怒っていた。

■男は窓のほうに顔を向けて知らん顔をしてガムをかんでいた。今風のかっこうをして、外見(ソトミ)にはスマートな青年である。現場を目にしていないので断定はできないが、女性の姿と男の一種ふてぶてしい姿から判断して、電車に乗るとき体がぶつかるかして、若い男が女の足を思わず蹴ったのだろう。「ほんと気が小さいんだから」と最後につぶやくようにいって女は黙った。

■男がなんの反応もせずに知らん顔をしていることを指していったのか、女が叫んでいるのに乗客もまた知らんぷりをしていることを指して「気が小さい」といったのかわからない。これが女性の体に触ったなると痴漢であり、乗客も避難の目をむけ、触った男を次の駅で駅員につきだすようなこともあるのかもしれない。
「この人が蹴っ飛ばした」といって電車内で女性が抗議する姿を初めて見た。何かの弾みで青年が蹴ってしまったら、素直に謝ればすむことである。怪我をさせるほどではなかったはずである。

■しかし、それが出来ない。昔から切れやすい人間はいたが、最近はその数が増えているという気がする。他への思いやり、優しさが欠けているのである。経済原理主義の行き着くところ、であると、敢えて持論を持ち出したい。得た果実をなるべく多くの人に分かち与えて共に喜ぶ、という慣習が死滅しつつあるようだ。法律を犯していなければどんな手段でもいいから果実を獲得した者の「勝ち」であり「俺(私)のもの」と主張し、それが正しいと思っている。そういう人の増加は、社会に不安をあたえ、さらにその類の人を増やす働きをする。

■本日発売の「週刊新潮」が、JALの労組から流れた「スッチー」の個人情報について、糸山英太郎氏がその情報を手にいれ、JALの元社長を「脅して」やめさせた経緯を書いている。JALの大株主である糸山氏の行為も問題であるが、労組がつくり山口組にも流れたという「スッチー」の個人情報の内容がひどい。この情報の内容についてスクープしたのは「週刊朝日」だが、データにはJALのスチュワーデスについて「在日」「共産党員」といった記述から「ずるがしこい」「役立たず」「精神病」「流産2回」といった記述があり、さらに「バカ」「ブス」などといったものもあるという。

■JALの中には8つの労組があるが、データを作成したのはもっとも大きな労組の「JAL労組」とのこと。恐らく経営者よりの「ご用組合」ではないのか。
 いずれにしても、労組がこういうデータを作成したということは、いかにこの会社が末期症状であるかを物語っている。JALの本社は自宅から徒歩10分ほどのところにあり、よくあの鶴のマークを目にする。見るたびに「企業の凋落」のマークと思えてしまう。ひところは「超優良企業」であり、学生がもっとも就職したい会社のベストテンに必ずはいっていた会社であったのに。なにやら昨今の日本の劣化を象徴しているようで、嘆かわしい限りだ。
 
■バブルを作りこれを一挙に崩壊させた日本の経済官僚と与党政治家の罪は重い。日本の劣化はバブルによって準備され、崩壊によって一挙に顕在化した。どう考えても日本は破滅への坂道を転げ落ちている。まだ、落下を止める手はあると思うのだが、限界を超えると、つるべ落としとなる可能性がある。
by katorishu | 2007-03-16 01:03