コラム


by katorishu
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堀江貴文被告に実刑判決

 3月16日(金)
■ライブドア前社長の堀江貴文被告に実刑判決。彼は夜のテレビのニュースに生出演して弁明をしていたが、心身ともに応えているようだ。ただ、拘置所からの出所直後、痩せていた体が元にもどっていた。堀江側は当然、控訴するであろうし、最終的な裁判結果が出るのは1,2年先になるかもしれない。
 身柄を拘束されたものの直ちに保釈の手続きをし2億円の現金を納付し、保釈になったという。昨年、3億円の保釈金を払っているので、計5億円。大変な額である。まだ相当、蓄えがあるのだろう。それはいいとして、もう少し謙虚になれないものか。

■堀江被告より「悪いヤツ」は日本社会に相当数いるし、彼らは法の網をくぐり抜け、のうのうと生きている。どうして自分だけが――と堀江被告は思っているのだろう。悪は「退治」されなければいけないが、堀江被告が「善」であるなどとお世辞にもいえない。
 儲けるのはいいとして、儲けたカネを自分だけのために使うのではなく、一部でもいいから多くの人に喜ばれるような「社会還元」に使って欲しい。「恵まれない若者の奨学資金」にでもといって、億単位のカネをどこかに寄付でもしていれば、世の見方も違ってくるし、あるいは実刑判決にならなかったかもしれない。もっともそんな慈善の心を豊かに持つ人は「金儲け」とは無縁の人であるのだが。

■他の経済犯と比較して、かなり重い判決といっていいだろう。
 ところで、堀江被告を選挙で「我が兄弟」と声を大にしてもてはやした自民党の武部元幹事長は「裁判の結果について意見をいう立場にない」といい、ひたすら逃げ腰であった。「ホリエモンこそ日本を改革する旗手である」と持ち上げた竹中平蔵氏も知らん顔である。
 堀江氏を政治利用するため持ち上げ、彼が塀の向こうに落ちそうになると、関係ないとばかりに見捨てる。そういう人が出世をし、リーダー層になっていくとしたら――あとはいうまでもない。

■TBSニュースによると、財政破綻した北海道の夕張市で、石炭をテーマにした第三セクターの経営する観光施設が「粉飾決算」をし、じつは180億を超える赤字になっており、それが財政破綻の原因であったという。粉飾決算をして赤字を税金で埋めていたのである。その場しのぎの粉飾がつもりつもって巨大な赤字になってしまったということか。関係者は「刑事罰」ものだが、果たしてどうなるか。

■夕張市の石炭のテーマパークが出来て間もないころ、シナリオハンティングでいったことがある。まだ最後に残った鉱山が操業をしていたときにも行ったので二度いったことになる。思い出した。坑道からあがってくる炭坑労働者たちは、一様に顔が黒く汚れていた。着替え場所や浴室なども見せてもらったが、一瞬、時間が昭和20年、30年代にもどったような気分になった。前年に大規模な落盤事故があり何人も死んだ。実に大変な仕事だと思ったことだった。
 
■映画「幸福の黄色いハンカチ」で有名になった炭鉱付属の住宅街も一部残っていた。ただ、、四階建てのコンクリート住宅は空き室が多く、窓ガラスも多くが割れたままになっており、荒涼とした光景だった。真っ黒いカラスが異様に多かったと記憶している。二度目にいったときは炭鉱はすでに廃鉱になり、観光客目当てのテーマパークができていた。あまり人がいないなと思っていたのだが、180億円もの赤字になっていたとは。
 市役所の人に話を聞いたところ、「さびれる一方です」といった意味のことを話していた。20年ほど前のことである。当時はまさか、現在のような惨状になるとは予想もしなかったのだが――。
 夕張は日本の未来を先取りしている。怖いことである。
by katorishu | 2007-03-17 01:26