コラム


by katorishu
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新聞は20年後、衰退業種のナンバーワンと「ダカーポ」が特集で推測

 3月21日(水)
■雑誌「ダカーポ」が「右肩上がりの業界、右肩下がりの業界」という特集をしている。本日、散歩の途次、北品川近くのコンビニで買ったきたのだが、各業種の20年後について「有識者」10人の採点評が載っていた。それによると、最も格付けが高いのは「情報・通信・同関連ソフト」で以下「人材・教育」「精密機器」と続く。

■紙媒体が衰退の一途をたどるとのことで、最下位に位置するのが「新聞」。その上が「デパート」「生保」「スーパー」だという。「テレビ」も下から数えたほうが早い。「ゲーム」や「外食」が中位に位置している。業界全体を推測して出した数字であり、ひとつの業界内で栄える組織もあれば衰退していく組織もあることは、もちろんである。あくまで推定であり、当たるかどうか未知数であるが、残念ながらある程度的を射た指摘であると思う。

■活字文化の中で育ち、途中からテレビにかかわってきたぼくなど、出来れば「当たらないで欲しい」と願いたいが、こういうことに限って当たってしまうのかもしれない。
 いずれにしても、情報通信関連が「日の当たる場所」になるのは間違いないだろう。10代20代では、紙に印刷された文字を読むのは億劫だが、携帯やパソコン上の文字を読むのは苦にならない人が増えているようだ。紙に印刷された本に近づきにくいという背景には、恐らく学校教育の国語の授業が関連しているのだろう。国語教育というと、七面倒くさい文法などがあり、受験勉強に結びついてしまい、それで距離を置きたくなるのだろう。

■教師の教え方にも問題があるのではないか。教える人に何より人間的な魅力がなければ、生徒はついてこない。とにかく教師は読書の面白さを情熱をもって生徒に伝えて欲しいものだ。肝心の教師が本を読んでいないという声も耳にする。 
 読書の面白さに触れた人はその後もずっと本を読み続けるし、その後の人生で計り知れないプラスをもたらすものである。若者でも本は面白いという人が相当数いるので救われるが。

■文字から映像などを喚起させる能力は、映像や漫画の氾濫によって相当程度衰えている。忍耐力の減退も読書離れにつながっているのだろう。何度も記しているが、人は思考する際、言語を使っているのである。従って読書離れからくるボキャブラリーの劣化は思考の劣化につながる。便利さ快適さを追求してきた社会が、文化的に劣化への道を歩み始めているとしたら、大いなる皮肉である。

■思うように執筆作業が進まない。本日、川柳句会の日だが、それどころではない。気分転換に森銑三の伝記文学「初雁」の中の「堀部安兵衛」ほか数編を読む。昭和16年に出た本の文庫の復刻版であるが、森史学の精髄の一端が読み取れ感銘深いものだった。なにより文章がいい。豊富な語彙と豊かなリズムあり、読んでいて心地よい。森鴎外などにも通じるもので、漢文の素養が基盤にある。先人が心をこめて記したものには、じつに味わい深いものが多い、と改めて思ったことだった。
by katorishu | 2007-03-22 01:19 | 文化一般