コラム


by katorishu
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都知事選始まる

 3月22日(水)
■都知事選挙の公示。石原氏と浅野氏が現在のところ、五分五分の情勢のようだ。週刊誌等によれば、双方「負」の面をかかえているようだ。あらゆる人間についていえることだが、「光」あれば「影」があるものである。完璧な人間など、この世にいるはずもない。政治家に「ベスト」などありえないので、より「ましな」ほうに投票するしかない。

■20数名の参加者のうちで、ぼくが下から2番目に若いという「昼食会」にいった。NHKの報道局内にあった外国放送受信部のロシア班関係がメインのOB会。廃部になって丁度30年だという。NHKの中でも「特異」な部であったので、商社や大学の教官に転身していった人も多い。参加者名簿を見ていたら、3分の1が元も含め大学教授だった。文筆業はぼく一人。
皆さん、国際関係、国際情勢に強い関心をもっているので、拙作「北京の檻」が話題になった。買って読んでくださっている人も多く、「面白かった」「一気に読めた」とのお褒めの言葉。作者冥利につきるというものである。

■次作に意を注がなければいけないのだが、このところ心労が多く、一日の予定が計画通りに進まない。大半の人がそれぞれの「心労」をかかえながら生きているのだろう。世の中ままならぬもの、であることは十分知っているつもりでも、いやはやということが多すぎる。

■過日、1000円で購入したDVDの映画「羅生門」を見た。黒沢明監督作品でベネチア映画祭で受賞した名作である。以前に見ていたが、あらためて見ると忘れていることも多く、京マチ子の演技力はこんなにも素晴らしかったかと感嘆した。
 千秋実の坊主役もいい。三船敏郎、志村喬、森雅之など、みんな個性的で堪能した。この映画の特性は、構成の巧みさにある。

■同じ事件や同じ人についても、見る人によって評価が天と地ほども違ってしまうことは現実生活でしばしば経験することである。入ってくる情報と受け取る人の「過去の生活体験」とが掛け合わさって「その人なりの評価」が出てくる。物事の評価というのは、むずかしいものである。記憶というのも、時間によって変形するし、そもそも記憶に定着する段階で無意識のうちにも取捨選択をしている。人はどうしても「見たい」ものを見て「見たくない」ものは見ない。見たくないものは「見えない」のである。
by katorishu | 2007-03-22 23:42