海中の二酸化炭素噴出のため80年後「人類死滅の危機」
2007年 03月 30日
■京浜急行に乗ったら朝方、この路線につながっている都営浅草線で「人身事故」があり、ダイヤがかなり乱れていた。乱れは夜になっても続いていた。恐らく飛び込み自殺である。最近、電車への飛び込み自殺が多い。世の中おかしくなっていることの端的な表れである。
■怖い記事が本日発売の週間新潮にでていた。評論家の櫻井よしこ氏が「日本ルネッサンス」の「拡大版」の前編で記しているのだが、このまま温暖化が進むと海中の二酸化酸素が大量に増え、人類は絶滅の危機に瀕するという。
温暖化で南極の氷がとけて海面の水位が上昇するという脅威がある。それより怖いのはメタンハイドレートの増加であるという。
メタンハイドレートは海洋中のメタンが水の分子に取り囲まれてシャーベット状に固まったもので、「メタンの地球温暖化効果は二酸化炭素に比べて実に24倍、恐るべき温暖化物資だ。大気中に36億トン、地中にはその3000倍の量が眠る」とのこと。
メタンの層で、海溝などの深海流に多く蓄積されており、日本近海の埋蔵量だけで、現在の日本の天然ガス使用量の約1600年分に相当するらしい。
■櫻井氏の論は首都大学東京の西澤潤一学長とエコシステム代表の上野博士の共同研究結果を踏まえたもので、地球温暖化のもたらす二酸化炭素の増加は、極めて由々しい状況であるという。
現在、大気の0,038パーセントを二酸化炭素が占めているが、これが濃度3パーセントになれば人類は窒息死する。大気中の二酸化炭素濃度を上げないためには、地中や海中に閉じこめられているメタンを空気中に放出させないことが大事なのだが、海洋資源の掘削などで、メタンハイドレート層を破り大爆発を起こしたりする。
■地震によっても大爆発が起きるが、海流の温度上昇によっても起きるという。今年2月に発表されたICCP(気候温暖に関する政府パネル)の第四次報告書によれば、地球規模で人類が膨大な量の化石燃料を使い続ければ、今世紀末の気温は最大6,4度上昇する。温暖化と大気中の二酸化炭素濃度の上昇は「悪魔のサイクル」といわれ、密接な相互関係にある。
■現在、人間は日々凄まじばかりの化石燃料を燃やし二酸化炭素を排出し続けている。それらは大気圏や陸地にとどまらず深い海に吸収されつづけ、それが噴出する危機に瀕しているのだという。これまでは深層海流が大量の二酸化炭素を吸収してきたが、限界にきており、今後、一気に「ラムネの栓を抜いたとき」のように二酸化炭素が一斉に噴出する可能性が強いと、櫻井氏は警告している。
■そうなったら、二酸化炭素が濃度3パーセントに達するのは、それこそ「あっという間」であり、人類は死滅する。二酸化炭素は植物の育成には好都合であり、太古の巨大植物群が出現することになる。そんな危機が80年後に迫っているというのである。科学者の研究データに基づいているだけに、怖い。映画「不都合な真実」が人気を呼んでいるのも、そんな科学的裏付けがあるからだろう。
■まだ「仮説」であり、そうならない可能性もあるが、一度なってしまったら最後なので、この警告を無視するわけにはいかない。
今の社会システムを根本から変えていかないと、本当に大変なことになる。しかし、多くのヒトは現在の便利な生活を手放したくないので、目の前に迫っている危機に目をつぶったままだ。80年後には生きていないから、いいや、というのではあまりに無責任すぎる。
■マスメディアはもっと温暖化の危険を指摘すべきである。そうすると、産業の発展のブレーキになると考えているとしたら、愚かなことだ。人類が死滅するとしたら、元も子もない。危機が目に見える形で迫ったときでは、もう決定的に襲いのである。環境問題に対して、多くの人が恐ろしく鈍感なのが、ぼくには不気味でさえある。