コラム


by katorishu
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東京への人口流入加速

 3月31日(土)
■東京都心でに高層ビル建設が目立つ。高層マンションも相次いで建っており、そんな建物の近くを通るたびに、「大丈夫かな」と思ってしまう。高層マンションにはそれなりの耐震設計がほどこされ、かなりの地震でも倒壊することはないのだろうが、高層に住むことのマイナス面はないのかどうか。10年、20年と住み続けていれば、マイナス面が強く出てくるはずである。
 自然に反することは心身に悪い影響をおよぼすものである。

■以前、何かの調査で高層階に住む幼児は精神的に不安定になるといった結果が出たと報じられていた。近所の子供と遊ぶのも億劫になり、必然的に孤立化し、非社交的になる。 2006年、東京圏への二人の流れが加速され、東京への転入超過は9万人で、43年ぶりの人口集中加速であるという。日本の人口が減っていくなかでの東京集中である。この10年間で政令指定都市の千葉市を上回る94万人余が転入したことになるとか。都心での高層マンション建設ラッシュもこの傾向の反映なのだろう。

■都会には黙っていても人は集まり、いろいろな競争が生まれた新しいものが付け加わったりするので、プラス面もあるが、一方で地方が疲弊していくとしたら問題である。
 背景には地方経済の停滞がある。田中角栄首相が列島改造論によって都会に集まる富をかなり強引に地方にもってきたおかげで、日本は経済的には比較的平等な社会になった。ところが、バブル崩壊後の長引く経済停滞の果てに出現した「小泉改革」によって、都会から地方へと富の流れる構図がひっくりかえされ、地方の惨状が加速された。
 時代に合わないものが滅びていくのは仕方がないことかもしれないが、強い政治の力で短期間に一気に「土壌」を崩してしまうと「命」が死んでしまう。

■独裁政権のような目に余るシステムなら一挙に崩壊させたほうがいいのだが、「小泉改革」前の日本が、今と比べてそんなに「悪い状態」であったかどうか。改革の隙間をねらって大もうけした人間にとっては、今は「大変良い時代」であるだろうが、「悪くなった」と実感している人も多い。地方に住む人はもちろん、大都会に住む人だって、半分以上は「生活が良くなった」などとお世辞にもいえないのではないか。
 経済面ばかりでなく、教育、モラルその他でも劣化が目立つ。

■テレビは「時代を映す鏡」でもあるので、テレビ放送を見ていると、時代の劣化さ加減がよくわかる。インターネットテレビの中に、例えばビデオニュースドットコムのような時代を鋭くとらえた報道系のものもあり、質の高いものも出始めてきているので、期待したいところだが、問題はオカネである。良いものを作るにはそれなりのオカネがかかる。ところが悪貨は良貨を駆逐するのが常なので、良いものを作ろうとするところにはオカネがまわってこない。困ったことである。
by katorishu | 2007-04-01 01:50