「きっこの日記」に捜査の手?
2007年 04月 13日
■「論壇・記者倶楽部」というウエブ上の「論壇サイト」に「当局がついに重い腰を上げるようだ」というタイトルのもと、以下のような記事が記されていた。
「 きっかけは、耐震偽装事件で超有名ブログになった 『 きっこの日記 』 の石原裕次郎の結婚 ・ 小作りは問題だが、当局は “きっこ” が誰であるのかに注目している。 一般には、ヘアーデザイナーといわれているが、実際はある雑誌記者を中心として “軍団” らしい。 “きっこ” が誰であるかを知っている雑誌記者が当局に非公式に呼ばれている 」 (大手出版社週刊誌デスク)
■「論壇」のアクセス数も相当なもののようで、影響力は大きい。
一方、「きっこの日記」は一年ほど前から注目され当時、1日のアクセス数が10万を超えたと週刊誌などに報じられた。その後、一部が単行本になりすでに2冊刊行され完売になったようなので、さらにアクセス数は急増しているに違いない。
自分の「身辺雑記」などと共に容赦のない政府批判を展開しており、ときに「ここまで書いて大丈夫なのか」「名誉毀損にならないのか」と思われるような文章も散見する。
■最近ではパソコンをつけると、メールなどの受信を確認したり天気予報を見るついでに、「きっこの日記」に目を通すことが多い。かなり長い文章なので、とばし読みしたり、最後まで読まないことも多いが、なるほどと思わせる指摘もあり、すでに廃刊になった『噂の真相』を彷彿させる記事もある。
書き手は「ヘアメイク」で30代の女性――と本人が記しているが、「複数の書き手がいるのでは」とか「週刊誌記者では」といった憶測もある。
■ほとんど毎日、欠かさずかなりの長文を戯作調で論理的に書いており、確かに「プロないしセミプロ」の書き手を思わせる。「きっこ」氏は「30代のヘアメイク」であると再三強調しているが、ぼくは、やや疑わしいと思っている。
それはどうでもいいのだが、アクセス数の膨大なことから当局が「情報収集」をはじめていることは、十分ありうることだ。
■これは一般論だが、ウエブ上で意見を述べる人、特に過激な意見を述べる人の圧倒的多数は匿名であり、匿名であるため、過激に、ときに中小誹謗や嘲りの文章を記したりする。
ウエブ上は、まだ「戦国時代」のようなもので、法整備も不十分なので、「匿名」氏は「言いたい放題」の状態でもある。言論の自由は尊重されるべきなので、過激な論調も結構なのだが、個人などを実名をあげて批判、非難する場合、いくら匿名とはいっても、「事実」の根拠をしっかり把握して論を展開して欲しいものだ。
■「2ちゃんねる」の掲示板等には、無責任な誹謗中傷が記されており、個人情報が暴露されていたりする。以前、ときおりのぞくことがあったが、今は「時間の無駄」なので見ない。それにしても、「2ちゃんねる」などに中小誹謗や嘲りの言葉を日々書き込んでいる人は、どういう人なのだろう。その種の書き手は「若い人」といわれているが、案外中高年で、怨念やうっぷんがたまっている人がいるかもしれない。
■あまりに中小誹謗が多くなると、当局の規制を促す声が強くなり、結局は言論の自由を規制することにつながりかねない。
「きっこの日記」の書き手に、捜査当局がどういう手をうつか、ここ1,2ヶ月間が注目される。とくに石原慎太郎知事の弟、石原裕次郎の「結婚問題」についての文章の件では、「きっこ」氏自身がブログの中で「間違いだった」と陳謝しているが、文章を公開したのが選挙期間中でもあり「公職選挙法違反」でひっかけられる可能性もある。石原都知事側が名誉毀損で告訴するということも考えられる。
■言論の自由はなにより大事であり、確保されなければならないが、一方で根拠のない「事実」に基づく誹謗中傷は、感心しない。この問題、ウエブ上の「言論」「表現の自由」に一石を投じることになるかもしれない。「論壇」の記事が「事実」だとすれば、捜査当局の今後の動きが注目される。