コラム


by katorishu
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

長崎市長射殺という暴挙

 4月18日(水)
■山口組関係の暴力団関係者の銃によって重傷を負った長崎市長が死亡した。マスコミ報道では、背後に思想的なものはなく、本人や関係者がかかわる土木建築事業に対する「長崎市の態度に腹をたて」たことが最大の理由のようだ。
 理由がなんであれ、選挙期間中、候補者を射殺するなど、戦後の日本ではなかったことで、先の加藤紘一元自民党幹事長宅の放火事件などとならんで「言論へのあからさまなテロ」ととらえるべきだろう。

■それにしても、山口組系である。日本最大の組織暴力団にのしあがった山口組に対してどうも警察当局はおよびごしという印象を否定できない。外国でいえば立派な「マフィア」組織である。それが公然と看板をかかげ、一部芸能界にもかかわっている。テレビの芸能番組に強い影響をあたえている吉本興業や美空ひばりなども、かつて山口組幹部と親交あり、美空ひばりはそんな親交が原因で、一時NHKに出演できなかった。最近も、創業者の関係者が身内や社内のトラブルを、山口系の暴力団関係者に頼んだことが原因でトラブルが起きていると、週刊誌が伝えた。

■芸能とヤクザ組織とは、江戸時代から深いつながりがある。山口組の故田岡組長と芸能関係者の深いつきあいは、知る人ぞしるである。
 一般的に組織暴力団、およびlこれに準じる組織、団体が、土木建築、産廃業関連、それに金融関係にもどれだけ深く浸透しているか、わからないが、いろいろな噂を聞く。バブルのころ、大手の住友銀行の中枢にも暴力団系の人間がはいりこみ、不動産取引や株の取引に多大の影響をあたえていた。彼らの「参入」を誘発する経営者、指導者がそれなりに存在するのである。

■表面は「普通の企業」の装いをしている「企業舎弟」も相当数あるようだ。日本の闇の部分は底が深い。まだ銀行など金融界にも、いろいろな形で食い込んでいると見たほうがいいのだろう。
 カネと権力を、彼らは独特の嗅覚でかぎつけ、巧妙にどん欲にはいりこんでくる。昔のヤクザやテキヤなどは、一見それらしい恰好をしていたし、あくまで社会の「アウトサイダー」であり、そのことを意気に感じていた。ところが、最近は「インサイダー」化して「普通の企業」と見分けがつかなくなっている。それだけに不気味であり厄介でもある。

■アメリカの大学でも昨日、韓国人の青年による発砲事件で32人もが亡くなった。「銃社会」アメリカを象徴する事件である。例のコロンバイン高校の事件については、マイケル・ムーア監督がドキュメント映画を制作し、銃社会をやめるよう訴えた。映画館で見たが、なにより衝撃であったのは、ハリウッドの大物俳優が「ライフル協会」の会長で、銃を手放すべきでないと強調していたことだった。

■コロンバイン高校の事件後、アメリカでも銃規制の法案を成立させようという動きがあったが、アメリカの政治家や産業界に強い影響力をもつ「ライフル協会」が、反対派を力でねじりつぶしてしまった。
 イラク戦争を主導し、関連する産業で大儲けをしたと伝えられるチェイニー副大統領など、テレビ画面で繰り返し「銃をもつことはアメリカ国民の権利」であると語っていた。

■強大な軍事力をもって世界を支配しようとするのも、アメリカ国民の「権利」というのだろうか。インディアン(最近は先住民族といわなければならないらしいが)を銃で殺戮し、騙し、追い出した上に作り上げた「人口国家」。それがアメリカである。
 日本人がよく観光でいく、ハワイも明治期、力づくで白人が土地を占領し力で威嚇してアメリカに併合させた島である。日韓併合がよくいわれるが、それ以上のことをアメリカがやったという事実は知っておいたほうがいい。

■アメリカには数々の美点もあり、いわば人類の「未来」を先取りした多文化、多民族社会であり、ぼくは嫌いではないが、問題もまた多い国だ。いざとなると銃や武力という「力」で他を屈服させる伝統は消えていない。指導者は、それこそアメリカのアメリカたる所以であるといいたいのだろうか。
 昨日のテレビニュースで、アメリカの銃器展示会の模様を写していた中に衝撃的なシーンがあった。幼児をだっこしていた主婦が3才ほどの男の子をさして「この子も銃をもっているんですよ」といい、上手に撃てるといった意味のことをいった、と記憶している。主婦は自慢げに話していたが、なにやら寒々とした光景に見えてしまった。
(先にアップした部分、誤解をまねく表現があったもので、一部差し替えました)
by katorishu | 2007-04-19 02:47