コラム


by katorishu
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楽天とTBSの攻防

4月20日(金)
■ずっと膠着状態がつづいていた楽天とTBSとの関係に新たな動きがでてきた。 楽天がTBS株を20%超、買い増すという。6月のTBSの株主総会を前に楽天の三木谷社長が、自分をもふくめ2人を「社外取締役」にするよう提案した。

■楽天はインターネットと放送の融合を目指し、「双方の特長を活用したサービスを実現する」と強気であり、一方TBSはこれに反発を強め「防衛策」をこうじている。
 この勝負、どちらが「勝つ」か。極めて注目される。仮に楽天側が「勝利」すればインターネットと放送の「融合」は一気にすすみ、その波及効果は大きい。

■旧来の政府に守られた規制産業の典型である「放送」と、新興勢力のインターネット。「放送」側が抵抗しても、善し悪しはともかく流れはインターネットである。すでにインターネット広告の金額は、ラジオでの広告を抜き、雑誌などの広告をもこえており、5年もたてばテレビでの広告を凌駕するかもしれない。
 
■流れはその方向であるとしても、手放しで喜んでいいかどうかとなると、別である。現時点では、簡単に善し悪しを判断できる状況ではない。規制があるから、すべていけないということはないし、資本の論理がさらに強くなって、金融の世界のように、ごく一握りの人間によってメディアが握られてしまったとしたら、問題を生じる。

■インターネットは可能性をもったメディアだが、マイクロソフトやグーグルなどアメリカのごく少数の私企業に根幹をにぎられており、便利で多様性があるようでいて、危うさも潜む。コンビニやスーパーが、旧来の小さな個人商店を駆逐していったが、インターネットの巨大なシステムを作り出した側が、「一人勝ち」状況をつくり、更に強大な影響力をもつことには、危惧を覚える。

■器をつくる側にも多様性がないと、将来的に「情報独裁」体制が出来上がらないとも限らない。便利さ効率化の裏には常に危険性やマイナス面もひそんでいるのだということは、忘れないほうがいい。
 いずれにしても楽天とTBSの攻防は、日本のメディアのあり方に強い影響をあたえるだろう。受け手の側に、多用なニュースや番組がより豊かに提供される方向で解決されることを望みたいものだ。
by katorishu | 2007-04-20 19:30