コラム


by katorishu
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驚くべきロシアの現実

 4月22日(日)
■プーチン政権のロシアは言論統制を強め、すでに警察国家になったといっていいだろう。国家保安委員会(KGB)出身のプーチン大統領の出現のとき危惧されたことが、現実になりつつあるようだ。過日もモスクワ他での政府批判デモを特殊部隊が鎮圧したり、あからさまな言論弾圧が目立つ。

■テレビや新聞などのマスコミのほとんどは、プーチン政権に迎合的な人間の手にわたってしまった。豊かな地下資源を海外に売ったりすることで、ロシアはソ連崩壊後、最大の「好景気」を迎えているが、その恩恵にあずかれるのは、都市部の人間やプーチン政権のとりまきなど、一部に限られている。格差も日本やアメリカなどと同様ひろがり、貧困層を中心に現世に夢や希望を描けない層も増えているようで、そんなロシアの現状の反映なのか、驚くべき「非科学的情報」が庶民の間に普及している。

■「太陽は地球の周りを回っている」という「天動説」を信じる人が、ロシアで国民の中で約3割に達しているとのことだ。イズベスチヤ紙が全ロシア世論調査研究所から入手した調査結果として伝えたもので、調査はロシアの153都市で、1600人を対象に基本的な科学知識を試す形で行われた。その結果、天動説を信じている人は28%に上ったという。

■また、「放射能に汚染された牛乳は煮沸すれば飲んでも安全」との回答が14%、「人類は恐竜時代に既に出現していた」との回答が30%に上った。そうして、科学的な知識だけを信じる人は20%しかおらず、あとは魔法を含む何らかの超自然的な力の存在を信じていることも明らかになった、という。
 非科学的、オカルト的なものへの傾斜が急速に進んでいることの表れであり、ロシアのような「大国」でこの種の考えが急増していることは、危険は兆候だろう。

■調査では、はっきりしないが、こういう「非科学的情報」を信じる層は、恐らく学歴、学力などの低い人が多くを占めているのではないか。ソ連時代のロシア人は比較的よく本を読み、知的好奇心の強い人も多かった。ソ連崩壊後の混乱のなか、そういう「伝統」は失われ、物欲全盛の「実利主義」が支配的になっている。ここからは想像だが、その「実利」にあずかれない人たちが、カルト的非科学的情報を信じる方向に傾斜をしているのではないか。大いに気になる現象である。

■本日、投票の沖縄と福島の参議院補欠選挙で、野党と与党は「1勝1敗」となった。長期政権の弊害をなくすためにも、ここは野党が勝って近づく参議院選挙で勢いづいて欲しかったが、どっちにころぶかわからなくなった。次の参議院選挙で与党勝利となれば、「数の力」で強権的な政治を行う恐れもある。
 政官財の癒着の構造を正す意味でも、政権交代がときどき起こり、たまった垢を洗い流すシステムをつくらないといけないと思うのだが。
by katorishu | 2007-04-22 23:18