「開発」という名の「神をも恐れぬ」人間の所行(しょぎょう)
2007年 05月 03日
■天気が良かったので、JR山手線大崎駅まで歩いた。20分弱で着く。駅から歩道が山手通りをはさんで延びており、ゲートシティという再開発のビルに続く。かなり広い空間で全部で3棟ある。2棟がビジネス用のビルで1棟が住宅用のようだ。バブル時代に発想したのだろう、かなり贅沢な作りで、空間もひろくとってある。
広い地下広場を見下ろす一角に椅子とテーブルが10数個置いてあり、人も少なかったので、そこで執筆作業。それなりに快適なのだが、自然がまったくなく、極めて人工的な空間であると改めて思った。
■フジテレビなどがある「台場」など湾岸地域に共通することだが、自然が少なすぎるのである。こういう地域こそ「発展したエリア」で「時代の先端」をいっていると世間では思われているが、疑問を抱いてしまう。
CS放送のナショナル・ジェオグラフィックでアフリカの「保護区」で繁殖しすぎた象の間引きを放送していた。場所はジンバブエ。大量に植物を食べる象が一定数以上、繁殖すると生態系を崩すので殺すのである。ヘリコプターに乗ったハンターが空から逃げる象を追い、至近距離で一発で仕留める。
■瞬間的に倒れる巨像を見せていたが、残酷なものである。ジャングルが鬱そうと茂っていた当時は、人間がこんな「間引き」をしなくても、「適者生存」「自然淘汰」の仕組みで、その土地に生きられる生き物の数は自然と決まっていた。ところが、欧米の植民地主義時代このかた、大量に資源を消費する文明が席巻した結果、この地域の生態系が崩れ、もはや人間が「保護」しないと動物が生きられなくなってしまったのである。こうなるとこの地域の「野生動物」は一見「自然」を装っているが、実態は「広い放し飼いの動物園」である。
■仕留めた象の処分だが、肉が観光客用の缶詰になったり象牙は高級細工品となって、ジンバブエの外貨獲得に貢献しているという。
こうした殺戮に抗議する人たちがいて、「避妊手術」でもして繁殖をおさえるのがいいと主張している。ペットの猫などはそうしているようだが、強制的に避妊するのも、ずいぶんと「失礼」なことである。人間はある時期から、ほんとうに自然を冒涜する存在になってしまった。これに限らず「神をも恐れぬ」振る舞いは、社会の至る所に存在している。
■大崎地区は江戸時代は竹の産地であったそうだが、今や竹林がまったく見られない。一部、存在したことの証として残しておいてよさそうだが、そんな余裕もなく根こそぎ自然を駆逐して「開発」をすすめる。このような自然破壊の数々の所行は、近い将来、必ず深刻なカタチでしっぺ返しを受けるに違いない。