コラム


by katorishu
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国民投票法が成立

 5月14日(月)
■本日、国民投票法が成立した。正式名称は、「日本国憲法の改正手続に関する法律」で、憲法改正のための国民投票である。一方、民主党が提出した対案の正式名称は、「日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案」である。

■焦点は憲法九条である。九条を厳密に適用すれば自衛隊の存在は「違憲」の可能性もある。一方で、「解釈改憲」で憲法の条文からはずれたことが出来てしまう現憲法のままでいいのかという意見もある。「憲法永久護持」というひとと「憲法改正・とくに九条を改正して普通の国に」と声高にいっている人がいるが、ぼくはいずれにも距離を覚えてしまう。

■現実の国際政治の観点から見れば、今すぐ九条を改正して「自衛軍」にすることは、現下の国際情勢では、アメリカ軍の「肩代わり」をやらされることにつながる。
 一方、いわゆる「護憲派」の論理を適用するなら、かつての社会党が唱えていた「非武装中立」であり、軍隊の機能をもった自衛隊の存在はおかしいことになる。さらに戦後60年以上が経過しても以前、「占領軍」の基地があるという現実である。

■九条のために戦後、日本が一度も戦争に参加しなかったという論理は正しいが、それも在日米軍あってのことである。依然としてアメリカ軍に「守られた平和」であるという構図は崩れない。かといって戦後、築き上げてきた「対米従属国家」のメリットは大変なもので、もし経済的に現在の水準を落とさずに生活しようとするのなら、対米従属を出来るだけ続けていくしかないだろう。

■もっとも、いずれこの形も破綻する。アメリカ式の市場経済原理主義は早晩、環境汚染という高いハードルの前で行き詰まるであろう。そのあと、国際政治で大きな存在感を示すのは、世界人口の4分の1を占めるイスラム教徒である。彼らの存在をぬきに、今後の人類のことを考えることはできない。ところが、ほとんどの日本人には、イスラム教徒の存在は「意識の外」である。イラク戦争の決着がどうなるかによって、アメリカの位置がかわってくる。もし、ベトナム戦争のようにアメリカが屈辱の敗退――ということになると、世界は新たな動乱の時代にはいるだろう。

■ポイントを握るのは、中国とロシアである。とくにロシアについて、日本はあまりに無関心すぎる。イスラム教徒と資源大国ロシア。今後、環境の劣化が危機的なまでにすすむ地上のことを考えると、この両国がどう出るかが、人類のターニング・ポイントとなるだろう。
 ぼくとしては、環境の劣化を防ぐことが人類の責務である……といった文言の憲法を、21世紀の「希望」として、積極的に打ち出していくときにきていると思うのだが。(でも、便利さ快適さにどっぷりひたってしまった戦後日本人には出来ないでしょうね)。

■かくて、「タイタニック号化した世界」は破滅に向かって確実に少しづつ近づいている。地球を巨視的な観点から眺めると、こんな法律が通っても通らなくても、どうでもいい、という気分になってしまう。
 私見では憲法改正は案外早く実現するであろうが、九条改正はそう簡単にできるものではない。善し悪しは別にして、現代ほど「汗水たらして動きたくない」国民が圧倒的多数派をしめた時代はない。

■「楽をしていい思いをしたい」と願う国民が過半数をしめている限り、九条の改正はできないし、かりに改正され自衛軍をもったとしても、護憲派の人たちが心配するような戦争など、できるものではない。
 仮に日本が本格的な戦争にまきこまれる事態になったら、「人類は終わり」ということである。

■その前に環境劣化によるすさまじい惨禍が地上を襲うだろう。そのほうが現実的な脅威であり、怖い。世界一の自動車会社になったトヨタが、イニシアチブをとって、高速道路の建設などより「公共輸送機関の充実を――と喧伝してくれればいいのだが、天にツバすることなので、やるはずもない。

■携帯パソコンの故障は、電源との接触不良が原因とのことで、そのパーツの交換ですみそうだ。1万5000円ほどの修理代。ただし、ハードディスクにはいっていた情報はすべて失われる。またしても――と怒るが、どうしようもない。
 ま、こんなことも地球規模で見れば、どうでもいいことだが。午睡をしたので、珍しく顔色がいいと家人の言葉。携帯パソコンに向かう時間が減ったのが原因か。
by katorishu | 2007-05-15 01:21