コラム


by katorishu
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古い店がしぶとく生き残っている大井町駅界隈

 5月16日(水)
■運動不足なので大井町駅近くまで20分ほど歩いた。喫茶店で資料読みなど。大井町駅近くには昔ながらの飲屋街がある。その中の立ち飲みやで缶ビールを飲みつつ、ヤキトリを。 
 元は肉屋であったとのことで、ヤキトリは中国人の女性が焼いている。外との境目がなく「屋台」という雰囲気で、下町的な気軽さがある。

■話しかけてきた初老の人がいた。自由が丘に住んでいるのだが、週の半分近くはここまでやってくるのだという。誰とでも愛想よく話していて、楽しい人だ。昭和9年の生まれだという。バッグに海外旅行の写真をいれていて、いろいろな人に見せているようだ。冊子のように閉じてあるのだが、相当皺がよっていた。

■テーブル席だと、会ったばかりの人とこういうふうに気軽な会話ができない。若い人も、サラリーマン風も、筋肉労働者風も、男も女もいる。以前は、ヤキトリだけ焼いて売っており、飲み物は近くの酒屋で買ってきて飲むという形式であったが、かの初老紳士によれば、酒屋と肉屋が喧嘩してしまい、肉屋の中に缶ビールのケースをおくことになったのだという。
 当然のことながら、値段が安い。

■その近くの古本屋にも寄った。いわゆる「新古書店」のブックオフなどちがって、古いタイプの古書店である。「多彩」といおうか本の内容の無秩序さ加減には驚く。ハウツー物や漫画のすぐ隣に哲学書、人文科学関係の本がおいてあり、その下にはポルノ関連。映画関係の面白い本があったので、4冊ほど買った。ブックオフとちがって、やや高めで2000円近く。こういう古本屋が生き残っていることは嬉しい。恐らく店舗は自宅で二階が住居になっているのだろう。店を借りていたら、やっていけない。
 津波のように襲ってくる資本の攻勢に、なんとか耐え生き残って欲しいものがいろいろとある。そういうものが一掃されて、例えば湾岸地域のような「機能的な街」ばかりになったら、こんな味気ないことはない。人は機能や効率のために生きているのではない。
by katorishu | 2007-05-16 23:47