久しぶりにサンデー・プロジェクトを見た
2007年 06月 11日
■久しぶりに田原総一郎氏のサンデー・プロジェクトを見た。途中からであったが、例のコムスンの責任者である折口雅博会長が出演していた。田原氏はじめゲストコメンテーター氏から、不祥事の責任をどうとるかとか、現場の問題点などに質問が飛んだ。しかし、折口氏は「すみません」と謝るばかりで、具体的に答えることができなかった。経営者として失格である。
■介護を絶好の金儲けと考え、ひたすら拡大路線を突っ走った底意が見えていた。バブル時代、ジュリアナ東京などのディスコを設立し、成功させた人物で、時代の動きを読むのは敏感なのだろうが、ボランティア精神が必要な介護に首をつっこんだことで、墓穴を掘ったという印象である。彼に労働省の官僚たちがどうからんでいるか、今後新たな癒着や不正が出てくるかもしれない。
■もうひとつ、サンデー・プロジェクトでは共産党が先日発表した自衛隊の情報保全隊による「国民監視」の実体を取り上げていた。新聞ではトップニュースで報じているところもあったが、テレビでの扱いは小さいか、無視していたようだ。イラク戦争に批判的な国民を監視するばかりでなく、年金問題ほか、政府の政策に批判的な動きをする人物について密かに調査していたとのこと。この動きは看過できない。
■自衛隊がこういう調査を密かにやっていたということを知っただけで、かなりの数の国民が政府に批判的な意見を公にしたり、デモや集会に参加すると、きわめて不利になると「学習」したのではないか。
じつはこれが一番怖い。民主主義は、政府や権力者についても堂々と批判することが出来る土壌があってこそ成り立つ。権力はおうおうにして過ちをおかす。従ってジャーナリズムは常に監視して、おかしいところがあったら、批判を加える必要がある。同様に、一般国民も、おかしいと感じたらおかしいと自由に意思表明をする。それがなにより大事なのだが、そんな土壌を損なうものだ。
■情報保全隊は本来、自衛隊員による機密情報が外部に漏れるのを防止するために設置された機関である。皮肉なことに、機密情報を防止する組織が国民を調査していた事実を共産党に把握されてしまった。つまり本体が情報遺漏をしているのである。
海上自衛隊の機密情報の漏洩もつづいているし、情報保全隊のやるべきことはそっちのほうでは、といいたくなる。いずれにしても、サンデー・プロジェクトがこの問題をとりあげたことは、よかった。新聞はもちろん、週刊誌も読まない人も相当程度いるので、こういうことが水面下で行われていることを、はじめて知った人もいるのではないか。
■言論の自由は民主主義の土壌であり、これを浸蝕する動きがあったら、芽のうちにつんでおく必要がある。すでにマスコミにはいろいろな「タブー」が生まれており、これ以上タブーが増えると、ひどく窮屈な社会になってしまう。「窮屈な社会」には、それによって利益を得る「既得権益層」が必ずいるものである。