コラム


by katorishu
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「新潮45」に掲載の「松岡農水相の封印された闇」 

6月21日(木)
■図書館で雑誌「新潮45」の中の「衝撃スクープ」とサブタイトルされた「松岡農水相の封印された闇」という記事を読んだ。一橋文哉という筆名の人が書いている。一橋氏はジャーナリストという肩書きで、これまでも三億円事件やグリコ事件などを書いてきた。複数の人間がチームを組んで取材し書いているようだが、他ではなかなか伺いしれない「闇の世界」をよく調べている。

■松岡大臣の「死」の原因は、光熱水費問題や緑資源機構の汚職などではなく、もっと奥深い問題がからんでいるとして、ある秘密レポートを紹介する。「これは米大統領が政治や外交で的確に判断する材料としてCIAが各国の政治・経済や軍事情報について調査した報告書の一部で、超一級の極秘資料だよ」(政府関係者)とのこと。英文で日本語訳もついているらしい。

■このレポートで「注意すべき人物」として「MATUOKA」の名前があがっている。松岡大臣の「自殺」について、不可解な出来事が二つあった。ひつとは現場にかけつけたSPが首つり状態のまま20分も放置しておいたこと。もうひとつは小泉前首相の主席秘書官の飯島勲氏のとった「異常行動」である。飯島氏は松岡氏が病院にかつぎこまれたわずか3分後に黒塗りのハイヤーでかけつけている。遺書の一通は松岡氏宛であった。

■死の直前、松岡氏は熊本にもどった。マスコミ発表では阿蘇市にもどり継母にあい墓参りをしたというが、その「事実」はないらしいとのこと。
 背後で「永田町の暗闘劇」が繰り広げられていたようだ。皇太子が臨席したダービーの会場に、松岡氏が出席する件で東宮側が官邸に意味深長な問い合わせをし、それに対し官邸は松岡氏に暗に「出世するな」と伝えたらしい。「端的にいえば『病気になれ』ってことだ」とのことだ。

■詳しくはこの記事を読んでいただくとして、衝撃的なのは、松岡氏を農水相に強力に推したのは小泉・飯島ラインということになっているが、「実際は米国政府、いやブッシュ大統領の意向を受け、シーファー駐日大使が飯島秘書官を通じて猛烈に説得したらしい」ということである。一橋氏によれば政府関係者が証言しているという。

■背景にはアメリカ産牛肉を日本に早く輸入させようというブッシュ政権の思惑があった。松岡氏はそもそも農産物輸入の自由化に反対論者であったのだが、ブッシュ大統領の意向をうけ意見を変えた。自費でアジア諸国を飛び回っていたとマスコミで報じられたが「実際は小泉・飯島ラインを通じて、米国の秘密資金や情報がふんだんに提供されていた、と報告書に書いてある」(政府関係者)という。

■考えてみれば、かつて自民党にアメリカのCIA資金が投入されていた。(一方社会党はソ連共産党から資金援助を受けていた)そんな経緯を考えると、さもありなんという気がする。この記事を読むと、あらためて日本の中枢はアメリカ政府の意向の中で動いており、日本がアメリカの植民地であることを実感する。
 松岡氏は畜産業界、とくに「ハンナン」や「フジチク」などとの癒着関係が取りざたされたが、こういう事件についてもアメリカは詳細なレポートを作成しており、松岡氏の「弱み」をも握っていたという。

■「米国政府は松岡氏の挫折を見越して、彼の性格を考え、日頃から莫大な資金を提供し、アゴアシ付きの旅行に行かせ、時には女性の接待まで用意したんだ。しかも、米国は穀物メジャーを通じて『ハンナン』などの食肉マフィアや暴力団に資金を提供し、松岡氏を借金と女でがんじがらめにしている。もはや、松岡氏は本人の意志に拘わらず米国の言いなりになるしかなかった」(政府関係者)。

■松岡氏の自殺の背景にはこういう「謀略」が渦巻いていた。記事は松岡氏が自殺をはかった日の午前中の出来事としてこう記す。「その食肉マフィアを通じて米国筋から米国産牛肉の輸入条件緩和督促の電話を受けた松岡氏は、自ら農水相の座を降りた」
「降りた」ということは「自殺した」ということである。松岡氏は闇の勢力とも深いつきあいがあり、カネと女の問題で追いつめられ、政権からも見放されつつあり、孤絶感を深めていたようだ。

■テレビや新聞だけに接していては、世の中の流れの本質が見えてこない。裏の裏では、別の事態が進行していることも多いようだ。政治・経済に限らず巨額のカネが動くところには絶えず謀略が渦巻いている。多くは水面下の取引などで闇に葬り去られるが、今回は松岡氏の自殺によって真相の一端が表に出つつある。
 この問題の闇は深い。日本の政治・経済の中枢の闇も深く深刻である。一橋氏の記事は次号に続く。
by katorishu | 2007-06-22 00:19