コラム


by katorishu
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「成果主義」「数字至上主義」という「魔物」が徘徊している

 6月22(金)
■「成果主義」あるいは「数字至上主義」という「魔物」が日本を徘徊し、社会の劣化を促進している。7年前からコロッケに偽物をまぜて売っていたミートホープという業者や、介護ビジネスで問題を起こしたコムスンなど、「数字」をあげればなんでもいいといった風潮の典型例である。おそらく上記の2社は「氷山の一角」で、似たようなことをやっている会社や組織は相当数あるに違いない。

■世の中には数字などで計れない価値がたくさんあるのに、この10年ほど、とにかく「数字」が出なければ価値がないといわんばかりの風潮が社会全体に蔓延している。
 本来、弱肉強食の自由競争になじまない分野でも、どんどん民営化し、数字による「成果」を短期間に出させる。それが出来ない組織は「滅びよ」といわんばかり。
 小泉政権以降、政府が積極的に主導してこういう価値観を根付かせてしまった。

■アメリカ式価値観を無批判に受け入れた結果である。アメリカに留学し「アメリカこそ世界の普遍的な価値」と信じ込んだ学者や官僚、ジャーナリストなどが、日本のアメリカ化を推し進めた。この10年間で、社会の芯の部分や土壌が壊され劣化がすすんでしまったという気がする。日本には日本固有の文化や伝統があるのに、相変わらずの欧米コンプレックスに染まった人が、とくに指導層に多い。

■ここへきて「市場原理主義」「数字至上主義」の弊害が噴出している。なのに、なおもこの路線を突っ走り、日本のアメリカ化を進めようとする指導者たち。国民は内閣支持率の低下という「意志表示」を示した。政府は支持率の低下という「数字」にあわてて、参議院選挙の投票日を強引に先延ばしにしてしまった。そのため、選挙を進めてきた組織や人が大迷惑を受けている。のばしたことによって税金もそれだけ多く使われる。

■少子高齢化を迎えたのに、今の日本に有効な対策はないといってよい。地球環境の悪化も深刻である。一酸化炭素を大量に輩出しているアメリカや中国が、ほとんど有効な対策をこうじていない。日本はこれら環境悪化を促進している大国に厳しく意見をいわなければいけないのに、実質的にはこの2国の「環境劣化政策」に加担している。「数字」至上主義の「魔物」に感染している指導者は有効な対策をうたない。「魔物」が人類の未来にとって、どれほど危険かを察知していないので、パフォーマンスはするものの、有効な対策を打つ考えもないのである。

■ぼくの周辺にいる友人、知人の多くは数字至上主義とは別の生き方をしている人が多いので、流れから排除されがちで、自然貧乏になっていく。それではいけないと数字至上主義を貫こうとする人もいるが、たとえ数字をあげたとしても、すこしも「幸せ」に見えない。個人の努力や才能の問題ではなく、社会をおおっている「成果主義」というシステムの問題でもある。今年あたりを価値観転換の分水嶺にしないと、危険な事態になる、と予言しておこう。
 時間があったら「地球の壊れ方」という近未来小説を書いてみたい。そのための資料集めも少しずつしているのだが、集めれば集めるほど空恐ろしくなる。

■本日は月に一度の放送作家協会の理事会。そのあと、産学協同の可能性をさぐるため大学関係者と協議。夜、コーヒー店で原稿書きをしていると、急に睡魔に襲われ深く眠ってしまった。能楽師が講師の勉強会に行く予定であったが、時間の都合がつかなかった。毎度感じることだが、時間の経過が早すぎる。驚き、あきれ、やがて、呆然となる。
by katorishu | 2007-06-23 00:40