コラム


by katorishu
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「ニュースにだまされるな」

 6月23日(土)
■朝日ニュースターの「ニュースにだまされるな」が面白い。日本の新聞の社説などを中心にとりあげ、数人の専門家によって、それがいかに的はずれであるかを酷評する番組である。地上波テレビとちがってたっぷり時間をつかって問題を掘り下げるので、「ニュース」の裏にあるものが見えてくる。
 G7で安倍首相が環境対策を提案したことが、マスコミでは好意的に取り上げられているが、これは見当違いも甚だしいとのことだ。

■安倍首相は、メルケル独首相が提案した温暖化対策を「骨抜き」する形で提案したにすぎないようだ。環境の劣化はじつに深刻である。学者の提案や警告について、ブッシュ政権はじめ「成長神話」や「市場原理主義」にとらわれた政治家、経済人は、なんとか焦点ぼかしをしている。そちらを真剣に考えると、「数字」をあげることが出来なくなってしまう。そのため、とにかく「数字」のほうを優先してしまうのである。
 こんな政策を続けていると、深刻な事態がさらに深刻になり、取り返しのつかないことになる。そういうことを、あまりマスコミは伝えない。

■今世紀末までに数メートル海面が上昇する可能性もある、と専門家は指摘する。これが人間にとっていかに深刻なことか、慄然とする。ところが、今年のG7会議で環境問題での合意ができなかった。ブッシュ政権に最大の責任がある。これに追随する安倍政権も「美しい星」などという抽象的は表現でアピールしたが、専門家によれば、どの年を基準に具体的にいつまで二酸化炭素を半減させるのか、まったく記されていないもので、めくらましでしかないという。

■ヨーロッパはすでに対米追随政策からの脱出をはかっている。しかし、日本のマスメディアはこの本質を的確に報じていない。本質を鋭くえぐるのではなく、お茶を濁す記事が氾濫している。日経新聞など、この問題では曖昧な表現に終始している。日経新聞を読むビジネスマンは多く、罪つくりなことにさらに罪つくりを重ねることになる。

■日本は世界の潮流から取り残されていることを、もっと知ったほうがいい。アメリカのブッシュ政権はすでに世界の流れからはずれつつある。これが大前提である。
 イラク戦争でも世界の流れは「ブッシュ離れ」である。なのに、現政権は未だにブッシュ政策追随である。日本のテレビと新聞だけ見ていたのでは、こういう流れがわからない。インターネットで娯楽サイトを見てまわるのもいいが、時には外国の新聞なども読んだ方がいい。中学高校の6年間、英語を習えば、新聞の概略は読めるはずなのだが。

■自動翻訳も発達しているし、ニューズウイークなどの日本語版もある。総合雑誌や週刊誌なども読めば、「内向きの情報」漬けから解放される。
 賢くならないと、情報を独占したり権力をもっている人間にいいようにされてしまう。おかしいことや不正に対して、ダメという言葉を発する国民が多数派にならないと、民主主義は定着しない。宗教教団が実質的に政治に進出している現実もきわめて問題である。何十年後、今の日本を回顧すると、きわめて「異常な時代であった」と位置づけられるだろう。

■カナダからきた学者(名前は失念)が語っていた。「(政府は)戦後奇蹟の成長をとげた日本の強みであった公的部門をどんどんゴミ箱に捨てている。驚きますね」
 その通りである。成立の過程はどうであれ現行憲法も戦後日本を支えてきた重要な柱である。そのほか、「共に分け合う」「独り占めしない」「人情味」といって日本の伝統的な美点も、「小泉改革」とやらが根こそぎぶちこわしてしまった。竹中某元大臣など、日本のアメリカ化をひたすら進めた人は、アメリカからオカネをもらっているのではと疑いたくなる。欲張り人間、独り占め人間をこれ以上跳梁跋扈させないための政策が今ほど必要なときはない。
by katorishu | 2007-06-24 00:13