コラム


by katorishu
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東京では毎日のように鉄道への飛び込み自殺が起きている

 
 8月2日(木)
■本来ぼくは「非政治的」人間で、政界の動きなどにあまり興味がないのだが、小泉政権出現後の政界にはかなり興味を持っている。社会の仕組みがうまく機能していればおおかたの国民は政治などにそれほど関心をもつ必要がなく、日々の生活を悲喜こもごも営んでいればいいのだが、どうもシステムがうまく機能していない。そのことに危惧を覚えるので、関心をもたざるを得ない。

■健康な人は自分の内臓のことなど意識しないが、体調がおかしくなると意識せざるを得ない。それと同じで、日本社会が「おかしい」ので、ぼくのような「非政治的人間」が政治に関心を向けざるを得ないのである。これは率直いって「不幸」なことである。

■本日、浅草橋まで出向く用事があったが、JRで人身事故が発生したという。飛び込み自殺と考えてよさそうだ。東京では、電車に乗ると人身事故が起きない日のほうが珍しいくらいだ。ぼく個人に限っていえば、このところ電車に乗るたびに駅の電光掲示板に「人身事故のため遅延」という文字を見る。

■自殺する理由はいろいろとあるのだろうが、経済をふくめ社会の仕組みがうまく機能していれば、死なずにすむ人も多いに違いない。
 自殺者数の増加は、その社会の歪みを端的に証明している。自ら死を選ぶというのは、大変なことである。政治家でも自殺した人がいたが、理由はなんであれ、傷ましいことである。

■政治は万能ではないので、なにもかも政治で解決できるはずもないが、一国の指導者はかなりのことが出来る。現に「小泉改革」とやらで、日本社会の風土は相当部分、根底から変わってしまった。良くなった面が一部あるかもしれないが、多くは悪く変わったというべきだろう。自殺者の増加が率直にそのことを示している。
 だからこそ、過日の参議院選挙で、多くの国民が小泉政治を継承する安部政権に「反対」の意志表示をしたのである。政治家は「民の声」に耳を傾けなければいけない。

■国民の率直な「声」がどうも安倍首相には聞こえないようだ。聞こえていても、敢えて無視して「自己の理想」を追求するのが自分の使命であると思いこんでいるのかもしれない。芸術の世界なら結構なことだが、国民の現実生活に強い影響をおよぼす政治の世界で、下手に「理想」を追求されると、危険である。

■自殺に追い込まれる人を一人でも少なくすることも、重大な「危機管理」の柱である。危機管理といえば、すぐに日米同盟とか軍事力――という話を持ち出す人がいるが、毎年3万人を超える人が自殺をしている現状こそ、「危機管理」の最重要項目である。国民の命が毎年、3万人も失われているのである。国民の生命の保証――それこそ国家が最重要項目にすべきことである。それが出来ない指導者が「安全保障」などというと空々しく響く。

■権力者の取り巻きやお追従者は、現行のシステムで様々な恩恵を受けている人といってもいい。彼らには自殺に追い込まれる人や、その寸前にある人の気持ちなど、わからないのではないか。30代の人間の自殺の増加も気になることである。
 その社会が悪い社会か良い社会かをはかるバロメーターとして、自殺者の数を上げることも出来る。年間3万人以上の人間が自殺する国が、「良い社会」であるはずがない。

■安倍首相も、一部特権・金持ち階級ばかりがいくレストランや施設にばかり足を運ばずに、自殺した人の家庭を例えば10軒ほど訪れてみるといい。危機管理について多くのことを学べるはずである。赤城某議員にしても同様である。「現実」を知ることこそ、政治家の基礎の基礎だと思うのだが。
 自殺者の残された家族の悲しみは拉致家族の人たちの悲しみに劣らない。この「現実」を知ることが大事である。「現実」を知らない「お坊ちゃん」に、前途多難な日本の舵取り役は似合わない。
by katorishu | 2007-08-03 01:13