コラム


by katorishu
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「原爆記の日」アメリカの偏見を正し続けなければ

8月6日(月)
■広島への原爆投下から62年がたつ。アメリカでは相変わらず、あの戦争を終わらせるには原爆投下は当然の措置で、それによって日米国民の多くの命が救われた、という論理が主流のようだ。とんでもないことである。どのような理由があっても、核兵器の使用は「絶対悪」である。使用ばかりでなく、これを保持することも絶対悪につながるのだということを、特に日本は声を大にして叫んでいく必要がある。

■原爆を投下しなくても、あの時点で日本は疲弊つくしており戦争はほどなく終結したという説のほうが説得力をもつ。日本は官民あげて、アメリカの「偏見」「誤り」を正していく必要があるだろう。
「勝てば官軍」というのが、この世の実相であり、歴史とは「勝者の歴史」である。だからこそ、時間の経過とともに歴史は書き換えられる必要がある。

■昔と違って、敗者にも多くの「資料」や「証言」が残される時代である。歴史家はもちろん、ジャーナリスト、ノンフィクション作家、在野の記録者等々が、事実を記録として残し、後世の史家に判断をゆだね。そうすることで、「歴史を作る」作業にかかわっていける。人が生きるとは常に歴史をつくっていくことでもある。

■敗者の側は、人も家も資料館なども徹底的に破壊されるので、記録が消えてしまい勝ちだ。努めて記録し(証言者の記録などもとり)残す努力をしていかなければいけない。
 アメリカの強さの秘訣は、「過去を記録して残す」つまりアーカイブズがしっかりしていることにあるということも出来る。イラク戦争で形の上の「勝者」になっているアメリカは、この戦争について膨大な資料を残しているはずである。

■一方のイラク側にどれほどの資料が残されているか。フセイン政権は瓦解とともに、恐らく旧日本軍の崩壊時と同じように多くの資料を消却してしまったに違いない。
 内戦状態が長く続く中、いろいろな資料は散逸してしまった可能性が強く、図書館や資料館なども機能していないに違いない。イラクにある大学なども実態はどうなっているのか、マスコミのニュースで流されることはない。

■産業がほどんど機能していない中、膨大な数のイラク人が一体「何で食べている」のかも、よくわからない。アメリカ軍から放出される膨大な軍事物資やその関連物資の横流しも日常茶飯であるのだろう。そういうものが、イラク国民の糧になっているのだろうか。

■記録し、過去を常に顧みることは、人類の愚考を少しでも減らすためにも大事なことである。被爆の実態は、日本という国が続く限り、いや歴史が続く限り「人類の犯した愚考」として後世に伝え続けなければいけないことだろう。
by katorishu | 2007-08-07 02:00