コラム


by katorishu
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口利き・利権社会は健在

 8月7日(火)
■本日は国会図書館と銀座、新橋で10数時間を過ごした。日本の中枢部がある所で、もっとも繁栄を享受している地域といってもいいだろう。原稿書き、資料調べなどで9時間ほど費やしたのだが、移動のために歩きながら、この「繁栄」の土壌になっているのは、何なのだろうなと色々と考えた。

■日本は中国などと同様依然として利権・口利き社会であることに変わりはない。多くの国民は実態についてあまり知らされていないが、漏れ聞こえてくるところでは、かなりひどい。過日、某有名私立大で客員教授を勤めこの春退官した人と会食する機会があり耳にしたのだが、入学や進級の際の「裏金」は日常茶飯であるという。「教授のポストもだいたい600万円で取引されてますね」と某氏は真顔で話していた。

■確たる証拠があるわけではなく、あくまで某氏の話にもとずくものだが、さもありなんという気がする。かつて、日本で一、二を争う某有名私立大で「替え玉受験」が行われていた、という話を耳にしたことがある。最初、まさか、と思ったが、じっさいに受験生にかわって当時の金で数万円のアルバイト料で身代わり受験した人の話を聞いた。「ほんとですよ、学内に支援する組織があるんです。ぼくが実際に受けて何人かを合格させているから」とその人は話していた。すでに何十年も前のことであり、今は続いていないと思いたいが。

■そういえば、やはり某有名私大の外国人講師の「ポスト」がオカネで取引されているという話を、当の外国人講師から聞いたことがある。日本に居住する外国人にとって、有名大学の講師は「ステイタス」になるので、そういうことが行われているだという。
 もちろん、その類のことはごく一握りと思いたいが、世間からは「真面目」と見られている大学でもこういう状況である。他は推して知るべし、である。

■「補助金など大学の研究費なんて領収書などいりませんから、自由になんにでも使えますよ。だから赤城農水相の問題なんて小さいですよ」と某元客員教授氏。彼は実名もあげていた。ことほど左様に、利権・口利きが日本社会に横行している。公共事業など税金がからむ事には、ほとんど例外なく利権・口利きがからんでいるといっていいのではないか。具体的な証拠はなく「伝聞」証拠であるが、当人が敢えて嘘をいう必要もない。話半分に聞いても、大変なことである。

■よくいわれる「勝ち組」などといわれる人のかなりの部分は「利権・口利き社会」の利点をうまく利用した人である。
 戦後60年余り、平和で繁栄の時代が続いたのは結構ではあるが、同時に利権や口利きが「システム」として定着していることを忘れてはいけないのだと思う。どんな世の中にもその類のことが尽きることはないが、ときどきは政権交代その他で、淀みを浄化しないと、ますます口利き・利権のシステムが固定化してしまう。

■戦後体制の「護持」は、一方でこの類の利権・口利きのシステムも「護持」してきたことも、頭の片隅に置いておいたほうがいいだろう。銀座の高級そうなクラブやバーなどの看板を横目で見ながら、こういうところの常連のかなりの部分が利権・口利きビジネスで儲けた組織や個人に関係しているのではないか、などと思ってしまう。
 ネクタイ族が多い中、ラフなジーパン姿のぼくは、どうも「異邦人」の思いを消せなかった。
by katorishu | 2007-08-08 01:03