コラム


by katorishu
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ネットカフェ難民は「社会病理」

 8月28日(火)
■天気予報では明日から、やや涼しくなるとのことだが、本日も暑い一日だった。クーラーのきいた部屋から外にでたりまた入ったりを繰り返すと、自律神経が失調を起こすのではないか。自宅ではなるべく扇風機をつかっているが、それでも夜は寝苦しく、そうでなくともよく眠れないぼくなどには、有り難くない季節だ。

■「ネットカフェ難民」が5400人もいるとの厚生労働省の調査が発表になった。20代が最多だが、50代も多いという。家があるのに、夜遅くなって電車などがなくなり、そのままネットカフェに泊まる人や、本来の目的であるインターネットを利用するため深夜使用する人のほうが圧倒的に多いのだろうが、ホームレスで、ここが最後の拠り所といった人も、これだけいるのである。

■一晩泊まると1000以上かかるのだろう。ぼくはこれまで二度ネットカフェにいき、一時間ほどいたことがある。数年前のことで、オールナイトのネットカフェではなかったと記憶している。
 そのうち「ネットカフェ難民」という言葉を知って驚いた。どのようなシステムになっているのかよくわからないが、マクド難民などに比べるとはるかに「快適」なのだろう。
 オールナイトで営業するマクドナルドで、数百円の飲み物で(100円でも可能)夜を過ごすのは、相当辛いはず。

■一方、そんな金もなくなった人は、路上や河川敷などに動物さながら寝るしかない。以前には見かけなかった光景で、バブル経済崩壊後の日本の「病理」を象徴する姿である。過日、マイケル・ムーア監督の『シッコ』を見たが、アメリカの医療保険の実態もひどいもので、入院費が払えない人は容赦なく路上に放り出されたりする。
 それでも、ホームレスのためのシェルターはかなりある。一方、日本ではシェルターを見かけない。一度、日本社会の流れからはずれてしまった人に、極めて冷たい社会になってしまったものである。

■病弱で職を失ったりホームレスになった人もかなりいるのではないか。富める者が貧しい者に救いの手をさしのべるのが当然といった「常識」が、『シッコ』で描かれるフランスやカナダではまだ生きていた。「助け合う」という精神は日本社会にもあったのだが、バブル経済の崩壊あたりを機に消えてしまった。

■政府はネットカフェ難民などの増加を「社会病理」としてとらえ、有効な政策を打ち出して欲しいものだ。このような「社会病理」現象がいろいろな所で起きていて、それに対して政治が有効な手だてをしていない。それが更に病理の傷口をひろげ、人心の荒廃を助長するという悪循環に陥りつつあるようだ。
by katorishu | 2007-08-28 23:34