コラム


by katorishu
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9.11、アメリカの衝撃はわかるが、「短絡的な発想」は被害を更に増やす

 9月11日(月)
■9,11同時多発テロから6年たつ。まるでSF映画を見るようなことが現実に起き、テレビ映像としてリアルタイムで送られてきた。まず第一に興奮したことを覚えている。こんなことが起こりうるのかという驚き。ついで、事件にまきこまれた人の恐怖や絶望感を思うと、暗澹とした気分にもなった。アメリカ国民が受けた衝撃はよくわかる。しかし衝撃のあまりカーッと熱くなり、強大な武力を背景に「やっちゃえ」とばかり「ヤンキー精神」の単純さで、イラク戦争にまで闇雲に突き進んだことは、大きな誤りというしかない。

■世界世論の反対にもかかわらず、ブッシュ政権は「十字軍」の気分でつっこんでいった。「大量破壊兵器を破棄させる」という虚構のもとに。一般のイラク住民にとっては、たまったものではない。疑義のある戦争に、我が小泉前首相はいち早く賛意をしめし、イラク特措法などを拙速につくって「集団的自衛権」行使に踏み切ってしまった。戦後、ここまでアメリカに即座に追従した政権はかつてなかったといっていい。

■そのツケが今、確実にきている。イラクはすでに泥沼の内線状態であるし、解決の道が見えない。日々消えていく戦費も膨大であるし、アメリカ経済にも影響をあたえるだろう。開戦時は諸手をあげて賛成したアメリカ国民の多くが、誤りに気づき、イラクからの撤兵を求めている。すでに「残るも地獄、退くも地獄」の事態に至っている。この先ブッシュ政権はどうするつもりなのか。テロを封じ込めるというブッシュ政権の政策は、結局、テロを拡散し、増殖させ、世界を極めて不安定にしてしまった。こうなって喜ぶのは「軍需産業」や「危機管理会社」等々である。

■政治は「結果」である。結果が悪かったら、その政策は悪いということである。悪い結果を出した政治家は退陣する――それが民主主義の基本である。日本はブッシュのアメリカに距離をおくべきだろう。日米同盟が損なわれるという「脅し」を口にする評論家がいるが、ブッシュ・イコール・アメリカではないし、説得力をもたない。

■一方の安倍政権、本日、鴨下環境相にまた新たに事務所費疑惑が発覚したという。こっちも底なしである。さらに解決の道が見えない年金問題。本日、氏名なしの記録が540万件もあることがわかったという。社会保険庁がどれほど、いい加減ででたらめな管理をしていたか。デジタル化のシステム設計を高額で請け負ったNTTデータも、責任がある。

■国(官)への信頼がこれほど広範囲で損なわれたことは、戦後初めてではないのか。リクルート事件やロッキード事件も話題になったが、年金問題ほど深刻ではなかった。インターネット時代、政官がらみのスキャンダルや不祥事、不正は即時に世界に伝わる。年金問題ひとつとっても、率直にいって「日本の恥」である。こういう事態をもたらした関係者に、なんらかの責任をとってもらわないといけない。
by katorishu | 2007-09-11 23:26