コラム


by katorishu
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植草一秀氏に実刑判決

 10月16日(火)
■元大学院教授、植草一秀氏に対し、東京地裁は16日、東京都迷惑防止条例違反したとして懲役4月(求刑・同6月)を言い渡した。神坂尚裁判長は「再犯の恐れも否定できず、もはや社会内での更生は期待しがたい」と厳しく非難したという。
 ぼくの住むところと割合近い京浜急行・品川駅から青物横丁あたりで、女子高生に痴漢行為をしたというのである。

■植草氏は「女性が振り返る際に『真犯人』が後ろに下がり、近くにいた自分を犯人と間違えた」と無罪を訴えていたが、判決は、植草被告が主張する「真犯人」の存在を「証拠上全くうかがわれず、弁護人が独自の推論で可能性を指摘するものに過ぎない」と断定した。以前、氏はやはり品川駅構内のエスカレーターで手鏡をつかって女性のスカートの中をのぞいたとして逮捕され、早稲田大学教授をクビになった。

■そのときも植草氏は無罪を主張し、これは権力側の謀略であると強調していた。あの事件から一年ほどたった某月某日、ある歓談の席でたまたま植草氏の隣の席に座ったことがある。名刺交換したあと、品川駅での手鏡事件の話になった。「あれはぼくが小泉改革を強く批判していたことに対する、いやがらせというより謀略です」と植草氏は強調していた。どうも植草氏は、横浜駅から電車に乗るころから私服に尾行されていた疑いもあり、何人かの識者も「ちょっとおかしい」という意見を公にしていた。

■あの晩、植草氏の話を聞いていると、「なるほど。謀略もありうるかな」とぼく自身思ったものである。その後、植草氏は某大学に再就職も決まり、講演などの機会も増えていたようだ。そのうち一度、あらためてインタビューをさせてもらおうと思っていたところ、06年の9月に、京浜急行の電車の中で「痴漢をした」として逮捕されてしまった。
 詳細はよくわからないので、なんともいえないが、本日の新聞であの夜、植草氏はビールの他、紹興酒を30~40杯も飲んでいたという。

■酒には強いと聞いていたが、飲み過ぎである。そのため、自宅とは反対方向の電車に乗ったのもうろ覚えであり「酔って記憶が曖昧であったが、周囲が騒ぎだし、はじめて自分が痴漢と間違えられた」と植草氏は語っているという。そうして、「自分が痴漢などしていないことは断言できる」と述べた。裁判官はそこをつき、他のことは泥酔状態でうろ覚えなのに、「痴漢をやっていない」という点だけはっきりしているのはおかしいと指摘、植草氏の言い分は信用できないとして実刑判決を言い渡したようだ。

■酒は百薬の長といわれるが、一方で「××××水」といわれるように、常識を狂わせてしまうことがある。一定以上飲み過ぎると、理性のブレーキをはずしてしまう働きがあるのである。以前、TBSの局長が就任のお祝い会で飲み過ぎ、電車内で痴漢をしクビになった例がある。酔いがさめて、なんてバカなことをしてしまったのか、と本人はさぞ激しく悔やんだことだろう。

■今度の件、植草氏の「証言」を信じたい気持ちはあるものの、紹興酒をそんなに飲んでいたのでは理性のブレーキがはずれたのでは……と思ってしまう。
 エコノミストとして優秀であり、マスメディアなどでも小泉改革に真っ向から異を唱えた気骨ある学者として、記憶に残っているのだが。残念なことである。

■それにしても、都の迷惑防止条例にしては異例の長期間にわたる拘留であり、この逮捕事件、警察、検察側の見方に全面的に賛意をしめせないものも一部残る。もし「お上にたてつくものは、こうなるぞ」という警告だとしたら、問題である。植草氏は控訴するとのことだが、判決を覆すだけの「証拠」や「証言」が得られるのか、どうか。恐らく高裁までいくであろうが……酒はほどほどに、と改めて思ったことだった。
by katorishu | 2007-10-17 00:10