値上げの秋、インフレを懸念
2007年 11月 01日
■すでに何度か指摘したが、インフレの懸念が具体的に出てきた。ガソリンの値上げをはじめ、小麦など穀物類がつぎつぎあがる。生活する上の基礎的部分があがることの意味は大きい。中小零細企業は絶えきれなくなって、いずれ一斉に値上げに踏み切らざるを得なくなるだろう。となると、もっとも困るのはかつかつに生活をしている低所得者や年金生活者である。
■一方で、インフレを密かに期待しているムキもある。財政赤字などインフレになれば解消されると考えている人もいるようだ。、インフレになれば「借金」も相対的に実質的に減少することになるのだから。
巨額の財政赤字は深刻で、これを解消するにはインフレしかないと思っている政治家や官僚は多いはず。この流れは怖い。経済は「安定」していることが大事なのだが、デフレにしてもインフレにしても、いったん傾向が顕在化すると、制御できなくなる恐れがある。
来年早々、アメリカのサブプライムローンのマイナス面が表面化する。アメリカの経済指導層はいろいろと手を打っているようだが、有効な手だてはない。
■アメリカ経済がどうなるかわからない状況だ。アメリカがこければ中国もこけるし、その間にある日本もこける。すると、待っているのは大恐慌に近い状況――と考えると暗くなる。
そうならないことを祈りたい。
■31日送られてきた『論座』の中で特集「岐路に立つネット時代の知的戦略」が面白い。2つほど論文を読んだだけだが、時代が急激に動いていることを思い知る。一読に値します。ついでながら、拙稿の『妖花』は「ムーラン・ルージュ・新宿座の誕生」をあつかっています。千恵子がスターへのとっかかりをつかんだところで、救世主になったのは文藝春秋社をつくった、作家の菊池寛であった。
■お読みいただけましたら幸いです。明日は「論座」とはスタンスの違う論を展開している「諸君」を買って読むつもり。他に読むべき資料等が数多くあり、いずれも昔の資料だが、現代の息吹を伝えるものも読んで、自分なりに考えない知恵を絞らなくては。
なお論座で20回以上映画評を掲載してきた映画評論家の藤崎康氏が、今回で最後になるとか。「よいしょ記事」の映画評の多い中、藤崎氏は独自の視点から論を展開してきた。来月にでも新宿あたりで食事でもしたいもの。