コラム


by katorishu
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

中国で先天性異常の出産率が急増しているという

 11月10日(土)
■東京は雨の一日。空中に浮遊する微細な塵芥が雨には含まれているのだが、人はほとんど気にしない。環境汚染が年々進むなか、微細な塵芥のなかにどんな有毒物資がふくまれているか知れたものではない。

■「環境汚染大国」中国では最近、先天異常の出生率が急増していると、毎日新聞ウエブ版が報じた。中国で生まれつき障害のある子供の出生率が01年の1万人当たり104.9人から、06年には145.5人に急増しているとのこと。研究者は水や大気など環境汚染の影響を指摘している。

■四川省成都で開かれた「国家人口計画出産委員会」で、江帆副主任が報告したところでは、「中国では先天異常の子が30秒に1人誕生しており、状況は年々悪化している」とのこと。報告では、空気汚染の強い炭鉱周辺で「先天異常が全国平均よりはるかに高い」という。環境汚染との関連性があると、中国の高官が強く示唆したのである。

■経済の急激な発展にともなう「負」の部分が、もっとも深刻な形で出てきたというべきだろう。中国の風下にある日本も当然、この影響と無縁ではない。中国産の食物類に有害物質が含まれているというニュースがしばしば流れている。そんな情報を得て、中国産のものは一切食べないという人がいるが、日本で生産される食糧の原料の相当部分が中国産であることは、知るひとぞ知るである。

■豆腐の原料となる大豆やパンの原料の小麦なども、中国産が圧倒的に多い。中国産を一切食べないと厳密に選り分けしていたら、食べるものがほとんどなくなってしまう。すでに日本で売られる衣料品の70%は中国産である。電子機器類の多くも中国産であるし、日本人の生活は中国なしでは成り立たなくなっているのである。

■だから、いっそう中国での環境汚染が怖いのである。いずれ、日本でも先天性異常児が増えるおそれがある。ものを大量に生産し大量に消費する経済システムを根本からあらためなくては――と心ある人は思っているのだが、現実の消費行動は旧来のままだ。「もったいない」という日本の伝統的言葉を「生き返らせる」ことが、今ほど必要なときはない。

■有楽町マリオンでの「勉強会」に出た後、北千住での脚本アーカイブズの会議に、やや遅れて参加。「文化にオカネを出さない」という近頃の風潮をなんとかして改めさせなくては日本の明日はない、と思うのだが。聞くところでは、某組織で絶大な威力をふるっている人が、「文化にオカネなど出す必要はない」と宣っているという(その方は文化に関連した仕事を長年やってきた人である)。「過去の功績」は評価するにしても、こういう考えの人が「権力」を握っていることは、「老害」以外の何ものでもない。世界一の発行部数を誇る某新聞の実力者などと同様に。
by katorishu | 2007-11-11 01:46