特権層の汚職と税の無駄
2007年 12月 05日
■防衛省をめぐる問題は要するに「税金の不正使用」ということである。本日の報道ステーションでも報じていたが、イージス艦に提供していた石油についても「随意契約」という名のもと、仲介していた特定の商社が破格の儲けをしていた可能性が強い。
■一部の「特権層」が国民の税金を非合法すれすれの手段を駆使して「私」しているということである。軍事機密という名目のもと、まるで時代劇の悪徳商人のようなことが、未だに行われている。特捜の捜査に期待したいものだが、「うまい汁」をすっていた連中はなんとか、身に降りかかる火の粉を振り払おうと必死に画策し、もみ消そうと躍起になっている。
■こういうニュースは世界に配信されるし、日本は依然として「アジア的停滞」の残滓をひきずっていると見られてしまうだろう。政治家や官僚の汚職がゼロになることは期待できないが、数を減らすためには、政権交代がもっとも有効である。仮に民主党が政権をとったとしても、劇的変化があるわけではなく、自民党にいったほうがいい民主党議員もいるし、逆に民主党にいったほうがいい自民党議員もいて、代わり映えしないという人がいる。
■しかし、少なくとも恒常的に権力を握りつづけている党や人、組織を一旦、そこから引き離し、別の人間がとってかわることで、緊張度が加わるし、汚濁の一部は除去される。「特権」や「既得権益」をもたない国民の意見も反映されやすいし、他の民主主義国ならみんなやっていることである。
■権限をもつ官僚が同じポストに2,3年以上つかないのは、一部の人間、業者との癒着を防ぐためである。残念ながら、ほとんどの人間は、表に出す出さないは別にして欲得の塊である。希にそういうものとは無縁で清潔な人もいるが、そういう人が行政能力、事務の力に長けているとは限らない。
■おうおうにして、少々の悪を働きそうな人のほうが有能な場合も多い。「清潔」ではあるものの無能な人間が権限を握った場合、そのマイナスの影響ははかりしれない。最悪のケースは、悪徳かつ無能の人間が権力を握ることだろう。
世襲などの場合、よく起こりうる。じっさい、無能な息子が父親や祖父の事業を引き継いでダメにしてしまうケースは、世の中に五万とある。
今、世界情勢は「ただならぬ」事態にはいりつつある。国際情勢を冷静に判断し、日本がどう対処し、この事態を乗り切れるのか。深い叡智と実行力をもった指導層が、今ほど必要なときはない、と思うのだが――。
■深夜、近くのコンビニにいき、たまたま雑誌コーナーで「ダカーポ」を手にとったところ、最後のページに「今号をもちまして『ダカーポ』は休刊いたします。26年間のご愛読、本当にありがとうございました」といった文字が記されていた。半年ほど前に休刊すると聞いていたが、その後も出続けていたので、休刊はガセネタかと思っていた。長く続く雑誌などが休刊となると、一つの時代が終わったという気がする。この雑誌にある時期、関係した編集者や編集長とは知り合いでもあったので、ふっと彼らの顔が浮かぶ。
Oさんはすでに定年になり、過日、故郷で年老いた親の介護をする――といった葉書がきていた。以前の編集長Nさんの自分と同じ名をつけた愛犬はまだ元気なのかどうか。
■一つの時代が終わり、新しく胸のわくわくする時代がくるといいのだが、どうも、そうなりそうにない。年明けに経済がクラッシュする可能性が出てきたし……内外ともに「ただならぬ」時代になってきた。