韓国ドラマ「朱蒙(チュモン)」は面白い
2007年 12月 09日
■遅まきながら韓国ドラマ「朱蒙(チュモン)」を見ている。仕事の「関連資料」として参考のためDVDで見始めたのだが、なかなか面白い。7話まで見終わったところで、この作は最後まで見てみたい気分になっている。
■韓国では評判作、「チャングムの誓い」と並んで高い視聴率をとり、先頃、日本のフジテレビでも放送されたとのことだ。日本の大河ドラマに相当するもので、海外でも売れることを意識した作りで、制作費も相当かけているようだ。偶然性が多いとはいえ、先へ先へと引っ張っていく物語性も豊かで、個々の人物の個性や魅力が過不足なく描かれている。
■内容を知らない方のためにホームページにのっているドラマの概略を以下に記す。
※『紀元前108年、漢の侵略により古朝鮮国が滅亡する。国を失った流民たちを率いて漢に抵抗する民族の英雄ヘモス(解慕漱)は漢軍との闘いで重傷を負い、河伯(ハベク)族の娘ユファ(柳花)に救われる。
※やがてふたりは恋に落ち、ユファはヘモスの子を身ごもるが、それを知る間もなくヘモスは漢軍の矢に倒れてしまう。愛する人を失った悲しみの中、ユファはヘモスの親友で扶余(プヨ)の太子クムワ(金蛙)に保護されて男児を出産し、チュモン(朱蒙)と名付ける。
心ひそかにユファを思うクムワは彼女を側室に迎え、友の忘れ形見チュモンをわが子として育てることを誓う。
※20年後、扶余の王となったクムワの下、甘やかされて育ったチュモンは、長兄テソ(帯素)や次男ヨンポに比べて意気地がなく、ユファやクムワを失望させてばかりいた。
それにもかかわらず父からの寵愛を一身に受けるチュモンをクムワの正妻とふたりの兄は憎々しく思い、チュモン殺害の計略を企てていた』
■日本の大河ドラマの内容は、すでに知っているものが多く、活字で読んでいるので、「ここは違う」「こんな描き方はない」と辛口の見方になってしまう。一方、朝鮮半島の古代史については、ほとんど知識がなかったので、「知らないことを知る」魅力もある。文献資料も数少なく、ほとんどはフィクションで、「歴史そのまま」ではないにせよ、「冒険活劇・娯楽劇」として楽しめる。
■多くの登場人物を描きわける脚本の良さも感じられるし、出演する役者も悪くない。日本のテレビドラマだと、放送が終わって別のチャンネルをまわすと、それまで危機的状況にあった人物(役者)が、なにかのコマーシャルでにっこり笑ったり、おちゃらけ番組に登場したりするケースが多く、ひどく感興を削がれる。
■ドラマとドラマの間に頻繁にコマーシャルがはいるのも、感興を削がれる一因である。韓国のテレビドラマでは、間にコマーシャルがはいることはない。いわゆる「大映テレビ」的メロドラマの「焼き直し」の雰囲気が濃厚な「韓流ドラマ」を見る暇はないが、歴史に材をとったドラマには、一見に値するものが多いのではないか。
■韓国ではドラマを「ドラマ産業」と位置づけており、海外に「売れる」ことを前提に作っている。ボーダレス時代の中、日本では相変わらず「内向き」のドラマが多い(ようだ)が、ハリウッドばかりでなく韓国からも学ぶべきが多い。「韓流ブーム」とやらは一時の流行だから、他の流行と同様いずれ廃れる(すでに、そうか)が、「チュモン」クラスのドラマは今後も引き続き日本でも多くの「お客」を獲得していくに違いない。
■「はまる」ほどではないにせよ、次を見てみたいという思いに駆られる。つまり「引っ張り」があるということである。当初、やや違和感を覚えたが「約束事」を頭にいれ、登場人物の「顔」に馴染んでくると、ドラマの中に素直にはいっていける。韓国ドラマの水準は相当高いなと率直に感じた。