コラム


by katorishu
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寒波の中、気になるホームレスの「生活」

  1月13日(日)
■本日の東京は昨日に比べてずっと寒く、摂氏零度に近く、ようやく治った風邪がぶりかえしそうだ。こういう寒波がやってくると、暖房もなく寒波に身をさらされるホームレスの人たちのことが、気になる。以前、アフリカで音楽を通じてホームレス支援を行っていたミュージシャンの津田さんの話をきき、一度、津田さんが主催している新宿中央公園に「住む」ホームレスへの朝食の支援ボランティアに、行ったことがある。

■津田さんの話では、スイトンのみそ汁であったら5000円で300人分のホームレスの朝食がまかなえるとのこと。早起きして新宿中央公園にいき、すいとん作りを手伝い、ホームレスの人たちに熱いすいとんを手渡すことをした。
 アメリカで――ホームレスへの支援現場で、黙々と食器を洗う作業をしていた初老の品の良い人がいた。他にもっと楽な作業もあるのだが、その人は「これが好きなんです」といつも皿洗いをしていた。あるとき、津田さんはその初老の人の自宅に招かれた。「驚きましたね、広大な邸宅にすむ社長だったんです。アメリカでは奉仕作業が根付いているんです。その点、日本人は奉仕の精神があまりない。弱者に冷たい社会ですよ」といった津田さんの言葉は耳に残っている。

■今も津田さんは、すいとんの炊き出しを行っているのかどうか。毎日ではなく、週に数回であったと記憶する。「駅の向こう側(歌舞伎町などのある一角)で飲食する人の一回分の飲み代で300人の朝食がまかなえるんですよ」と津田さんは語っていた。
 ホームレスの何人かから話を聞いたりした。そんな経験があるので、寒波が襲来すると、ホームレスの人たちのことが頭に浮かぶ。さぞ辛いだろうな、と思う。凍死する人も多いのではないか。近頃ではそれがニュースにもならない。

■助け合うというのが、江戸時代から庶民のあいだで続いてきた「慣習」「伝統」であった。そんな「伝統」は今も失われていないと思いたいが、気持だけはあっても、ある程度生活の余裕がないと他を助けるための行動に移すのがむずかしくなる。

■エコノミストの紺屋典子氏がCSテレビで語っていたが、1990年代の初期、日本は国民一人あたりの実質国民所得が世界一であった。ところが、「小泉改革」が実施されて以後、実質国民所得はさがりっぱなしで、今では18位。このままだと早晩「経済大国」の看板もおろさなくてはならなくなる。そうなれば、かつかつの生活を余儀なくされる人が急増し、窮状にある人は更に窮地に追いやられる。すると、ますます実質国民所得は減少し、窮状においやられる人が増え――といった悪循環がおき、殺伐とした社会になってしまう。

■劣化の悪循環を食い止めることができるのは、政治の力である。「生活重視」を打ち出した小沢一郎民主党党首の言動が、最近どうもおかしい。例の防衛疑惑が表面化した直後から、「おかしくなった」という気がする。山田洋行は金丸信と深い関係にあったし、小沢氏は金丸信に抜擢された代議士だった。大連立構想を民主党幹部から拒否された直後、小沢氏は「私はやめる」と意志を表明したが、あのとき「やめてもらったほうがよかったのではないか」と指摘する政界関係者も少なからずいる。政治は一寸先は闇、といわれるが、生活も一寸先は闇の人が増えているようで、懸念される。
by katorishu | 2008-01-14 02:14