世の中の「問題」の9割は金(経済)で解決する
2008年 02月 12日
■無理心中事件が最近、妙に多いという気がする。足立区の「機械工」宅で起こった心中事件は、次男が両手首をナタで切断され、妻と母が惨殺されるなど凄惨なもので、眼をそむけたくなる光景だ。
■なにが原因であったか詳細はわからないが、どうも経済的問題が大きな理由であったようだ。無理心中事件に限らず「事件」の背後には「経済問題」がひそんでいることが多い。。つまり関係者が経済的に窮迫し、心理的に追いつめられ絶望した結果、どうにでもなれという気分になって突っ走ってしまうのである。
■逆にいえば、この世の不幸の9割以上は「お金」があれば解決できるといってもいいくらいだ。中東のテロだって、アフリカでの内乱だって、みんな根底には経済問題がひそんでいる。「金持ち喧嘩せず」のたとえばがある通り、経済的に余裕があれば好きこのんで「過激なこと」「極端なこと」を起こす気にならないものである。
■多くの国民が「中流意識」をもっていたバブル期までの日本では、犯罪も少なく自殺や無理心中も少なかったと記憶する。この20年近くアメリカでの犯罪が減ったのも、経済がうるおい、窮迫する人が比較的少なくなっていたからである。人は動物としての生存本能をもっているので、「食えなくなる」つまり基本的な生存をおびやかされると、動物としての本能をむき出しにして、他を倒してでも、場合によっては殺してでも、自分の生存を維持しようとする。
■今、アメリカの経済が急速に後退し「食えない人」が急増している。本日のテレビ朝日の「報道ステーション」で入ってきたばかりのニュースとして、世界最大の自動車販売台数を誇るGMが自動車業界でかつてない4兆4400億円もの大赤字を計上したと伝えていた。これは容易ならざる事態というべきだろう。
■アメリカの景気後退は日本はもちろん中国や韓国などの産業にも強い影響をおよぼすに違いなく、こういう国でも「食えない層」が急増する可能性が強い。当然のことだが、社会は極めて不安定になる。一歩間違えば世界大恐慌になる……と警告するエコノミストもいる一方で、いや日本には1000兆円を超える「個人資産」があるから大丈夫というエコノミストがいるが、前者の可能性が強いように思える。
■政治家や霞ヶ関の官僚に知恵を絞って「危機回避」の手をうってもらいたいものだが、本日の「報道ステーション」によると、国土交通省の主張してきた「54兆円」の道路建設費についても数字の根拠が薄れる事態が、国会論戦で発覚した。民主党の若手議員の鋭い追求に公明党の冬柴国交大臣はオタオタしていた。国交省の天下り等々で無駄に消費されるなど、税金の配分がまったくおかしい。日本(日本国民)を崖っぷちから救うためにこそ、税金を有効に使って欲しいものだ。
■本日の「報道ステーション」は短い時間の中で、「経済」のからむ諸問題を的確にわかりやすく伝えていた。古館キャスターの「つっこみ」も核心をついており、地上波テレビメディアの中では、ぎりぎりのところでかなり健闘している……といっていいのではないか。