錯覚商法にご注意!
2008年 03月 10日
■内容証明の郵便をはじめて出した。高校の同窓会名簿の件で、「東京都立国立高等学校出版部」なるところから、「同窓名鑑」を近々出版することになったので、確認のため往復葉書に訂正事項があれば記入して返信してほしいとのこと。てっきり、高校の同窓会が新しく名簿をつくるのかと思い返信したところ、一週間ほどで郵便の振り込み用紙のはいった手紙が届いた。
■差出人の住所に「都島区」とあった。あれ豊島区の間違いかなと思ったら、どうも大阪のようで「人事新報社」なる会社の住所である。「大阪市」という文字を書かないところがミソなのだろう。東京の高校の同窓会名簿が、大阪で出るというのはオカシイと思われないよう、敢えて大阪市をはぶいたのだろう。
■同窓生で同窓会の運営にかかわっているU君に連絡したところ、同窓会とはまったく関係がないし、警戒をよびかけているところだという。引っかかって、1万円以上のお金を振り込んでしまう人も多いのだろう。振り込み期日は一週間後で赤字で大きく記してある。
■フリーダイアルの番号が記してあるので、電話をしたところ「名鑑」についての問い合わせは平日の10時から12時の間にしてほしいとの留守電。その時間になって何度電話しても通話中。おそらく、日本全国のいろいろな学校の同窓会の「名鑑」を発刊していて、苦情などが殺到しているのだろう。
■内容証明の郵便を送るのがいいとU君のメールにあったので、郵便局にいった。近くの簡易郵便局ではだめで、本局へ。細かい規定があり、経費は配達証明こみで1220円。「名鑑」は7月に発行されるとのことだが、こちらの住所、メールアドレスなどの掲載を断ると共にもし掲載したらしかるべき措置をとる……云々と書いた。この類の名簿、名鑑は恐らく販売業者などの手にわたり、電話やメールでのセールスなどに利用される公算が強い。
■以前から名簿ビジネス業者からの葉書などがときとどき舞い込み、無視していたのだが、今回は同窓会のあつまりで、ぼくがちょっとした講演をすることになり、そのやりとりがあった直後にきた葉書であったので、てっきり、同窓会当局からのものと錯覚してしまったのである。
「振り込め詐欺」など錯覚を利用した詐欺が流行っているが、この件は違法ではないにしても、錯覚を利用して巧みに金をとる商法である。
■以前、電話番号簿に名前を載せていたときは、墓園を買わないかという電話セールスがよくあった。金や不動産の投資のセールスもあり、うるさいので番号簿から削除してもらった。その後、どうも放送作家協会の名簿がもれているようで、そちら経由のセールスの電話もある。
■金儲けに知恵を絞るのはいいが、お客を「錯覚させて」、とにかくうすく広くお金をすいあげようというビジネスが、横行しているようだ。「錯覚商法」と敢えて呼ぼう。
世相なのか、この種の商法が急増している。人の「善意」を利用するビジネスである。「善人は生きていけない」「ずるがしこくしなければ損をする」という社会は、悲しい社会である。人はみんなどこかで「錯覚」したり「誤認」したりして、喜んだり悲しんだり怒ったりして生きていて、錯覚することで救われることもあるだが。
錯覚商法はいただけない。この類のことは、世間にいろいろとあるはず。要注意である。