コラム


by katorishu
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

痴漢をデッチあげた最低の大学生

 3月16日(日)
■電車の中で痴漢をでっち上げ、なんの罪もない善良な人を「犯人」として留置場にぶちこんだ大学生が先日逮捕された。蒔田文幸容疑者(24)という甲南大学法学部の4年生で、「憂国の士」を気取るブログを書いていたという。

■産経のウエブ版によれば、蒔田某は趣味としてスポーツ、カラオケ、バンド、ショッピング、アウトドア、旅行、語学、読書などを挙げ、ブログで「僕は今自分の夢に向かって全力で前進しています。僕の夢はあまりにもでかいので、みんなに話すと必ずバカにされて笑われてしまう」とした上で、「皆さんは今の日本がどれだけ危機的状況にあるかご存じですか?日本は島国で平和なので気づいている人はごくわずかだと思います」と問題提起しているという。

■言っていることとやっていることが、違いすぎる。つまり言行不一致だが、大学生もここまで堕ちたかと慨嘆する。被害者は電車内で風邪気味で元気のない善良そうな中年男性で、痴漢をしたと脅せば示談金をとれると思っていたようだ。弱い善良な人間をカモにするなど、ふりこめ詐欺に通じるところがあり、卑劣そのものである。

■子供の数が少なくなり、大学に誰でも入れるようになったことの端的な表れなのかどうか、知力ばかりでなくモラルも地に墜ちたといってよい象徴的な事件であったと思う。
 警察も問題である。痴漢と名指しされると、問答無用で留置場にぶちこむ可能性が強く、混んだ電車の中などで男性は相当注意していないと、この種のえん罪にまきこまれかねない。

■電車が揺れて姿勢が崩れとなりの女性客にぶつかることがある。そんなとき、故意に体に触れたとして、にらみつけられることもある。「この人痴漢です」と女性にいわれたら、抗弁の余地もなく現行犯逮捕されてしまうのだろう。電車に乗るさい、いつもそんなことがチラッと脳裏をかすめる。混んできたら、本でもだして両手にもって読んだりの「防御」の姿勢をしなくてはいけない。

■もちろん意識して痴漢を繰り返す変態は罰されてしかるべきだが、こういう事件が起きると電車にも安心して乗っていられない。ぎすぎすした時代になったものである。
 喫茶店のトイレによく「荷物を座席に置いて席を立たないでください」などと書いてある。図書館でも、席を立つ場合は荷物をもっていくようにと注意書きがある。

■以前はこういうことはなかった。昭和30年代までは、電車の網棚などにカバン等をおくとき、警戒しなければならなかったが、昭和40年50年代から平成の初期ごろまでは、網棚にカバンをおいて居眠りをしていても盗られることはまずなかった。
 今は決して網棚へ荷物を置かないし、喫茶店でトイレに立つとき荷物をもっていく。確かに便利な社会にはなったものの、かわりに日々緊張を要する社会になってしまった。人の「幸福感」という尺度で考えると、社会から「幸福感」が年々失われていくような気がしてならない。
by katorishu | 2008-03-17 01:18