北京オリンピック、成功させたいのなら「言論の自由」を
2008年 03月 18日
■チベットの騒動に対して中国当局の説明は納得できるものではない。そもそもチベットを力でおさえこみ、自国の領土をしている中国当局の政策は国際世論の支持を得られない。
チベット文化は中国の漢文化とは異質である。民族も違うし、チベットは独立国として遇するのが、常識というものだ。ソ連邦のとき、力でおさえこんでいたウズベクやタジキスタンなど中央アジアの「共和国」は、ロシアになってから独立した。
チベットの位置もソ連時代のウズベクなどと同じである。
■外国の報道機関を遮断している中国当局の姿勢も、まったくおかしいし、納得できるものではない。太子党という党指導者層の子供たちが、親経由などで入手する情報をもとに金儲けをし、特権階級と化し、膨大な利益をあげている中国社会。中国指導者は英断をもって、言論統制をあらため、国内の天文学的な格差是正につとめるべきだろう。そうしなかったら、夏の北京オリンピックは開催できなくなるかもしれない。開催したとしても、辞退する国が続出するのではないか。北京オリンピックを成功させたいのなら「言論の自由」がぜひ必要である。
■経済発展が民主主義の発展に結びつかない「大国」は怖い。以前、チベット出身の国際学者、ペマ・ギャルポ氏にインタビューしたことがあるが、チベット民族の悲しみが伝わってきた。これを機に、中国に言論統制をゆるめるよう、世界が圧力をかけるべきだと思う。
■それはそれとして、国交省管轄下の公益法人のガソリン税流用のでたらめさも、驚くあきれる。職員旅行の費用に1億8000万も流用していたという。これなど氷山の一角で、まだまだ続々と無駄遣いや流用がでてくるだろう。官僚の劣化が、今の日本の最大の問題かもしれない。「公僕」という言葉が完全に死語になってしまった。こういう問題も参議院で民主党が多数派にならなかったら、表面化しなかっただろう。一党が長年政権の座にあることの弊害が、ここはきて一気に顕在化した。まずは、政権交代し、澱み濁った水を浄化することからはじめる必要があると思うのだが。