絶滅危惧種になろうとしているラジオというメディア
2008年 06月 06日
■明日、7日(土)22時よりNHK・FM放送で拙作『生き直す』が再放送されます。翌週の14日(土)22時より『生き直す』のパート2が放送されます。理学療法士がリハビリを通じて患者の「心の回復」までをも「リハビリ」するといった設定です。
パート2のゲスト主役は交通事故にあったミュージカル女優という設定です。お時間がありましたらぜひお聴きください。http://www.nhk.or.jp/audio/
■最近ラジオをもっていない人が少なからずいて驚いた。ラジオはカーラジオでしか聞かないという人もいる。いろいろなものに「絵」があることが「常識」になってしまった時代、「音だけ」というのは「非常識」になってしまったのか。
確かにラジオ番組の内容も以前とかわってしまい、だらだらとしたおしゃべりと軽い音楽――というのが定番になっているようだが、なかには面白い語りやラジオならではのコメントもある。
■わずかに残っているラジオドラマなども、映像がないだけに想像力を加味して豊かに再構築できるし、今となっては案外「高級なもの」という気がする。民放局の場合、ラジオのスポンサーがへり、経営も苦しく、さらに低予算でつくるしかなくなっており、今やラジオは危急存亡のときにあるといってよい。ラジオを「絶滅危惧種」にしてはいけない。
■このメディアを絶やさない方法はたったひつと。ひとりでも多くの人がラジオを聞く(聴く)ことである。ラジオをもっていない人は世の中にラジオというメディアがあることも忘れているのかもしれない。最近は携帯電話でもラジオを聴ける。「絵」にならないものにも、存在価値があり、「絵」がないからこそ抽象度は高いともいえる。
■想像力まで他人まかせで「映像」にしてもらって見るという安易な習慣が根付いてしまったが、自分自身の想像力を強化する上でラジオを見直すべき時にきていると思うのだが。もちろん、活字はさらに抽象度が高い。「絵」がないと面白くない、「絵」がないと理解できない――という層の増加は、文化の劣化につながる、と断言できる。