コラム


by katorishu
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「2008年地球環境シンポジウム」に参加した

 6月14日(金)
■赤坂のホテルニューオオタニで開かれた「2008年地球環境シンポジウム」の2日目に足を運ぶ。朝日新聞社の主催で昨日と今日の2日間、開かれた。1日目は「温暖化G8リーダーへの提言」というシンポジウムで、オープニングの挨拶は福田首相がし、奥田トヨタ自動車取締役相談役などがスピーチしたようだ。はくづけセレモニーの意味しかないのでは……。それも大事なことではあるが。

■2日目の今日は「エコ・フロントランナーへの挑戦」で、野次馬根性旺盛なぼくは午後からの「生物多様性の未来」と「アジアの水問題」に参加した。中国の環境汚染についてパネリストの馬軍氏の語った現状報告は興味深いものだった。中国やインドなど人口大国の「経済発展」が最近の急速な環境汚染の直接の原因になっている。発展にばかり気をとられ環境汚染をまねいた日本の高度成長時代を想起させる。あのときとは比較にならないくらい深刻になっている。

■滋賀県知事になった学者の嘉田由紀子氏の「近い水」という発想が面白いと思った。嘉田知事は「遠い食に頼るのではなく、近い食、近い水に頼るべき」として、自給率をあげる上で、米をもっと食べるようにすることが必要だとし、米のパスタや米のパンなどを普及させようとしている。心の細やかさが伝わってくる人で、こういう「知的な」政治家が10人に1人でもいたら、日本はもっとよくなるのに、と思ったことだった。

■中国の馬さんも、環境問題についての中国当局の対策の遅れを率直に批判し、非政府系組織のNGOの活躍に期待をかけている旨発言していた。中国の水汚染に日本の企業、ホンダや鈴木、花王、住友、東芝等々の大企業もかかわっている事実も指摘した。日本であったら絶対に許されない環境基準で、これらの日系企業が汚染された水を流しているという。
 中国では政府は腰が重くなかなか動かないが、ネット人口の急増で、ネット上の発言が力をもち企業に改善を迫ったりするという。恐らくネットが中国の硬直した官僚組織を突き崩す端緒になるかもしれない。日本はどうなのか。未知数である。

■「人は愛するものしか守れない」「知らないものは愛せない」だから「愛するためには知らしめること」これはINBIO所長のロドリゴ氏のいっていることだという。そのほか、傾聴に値する意見がいくつもでた。詳細は来週の朝日新聞本紙に掲載されるとのこと。

■環境汚染や水の汚染が、現在、人類が直面している最大の試練かもしれない。汚染は国境を越えてひろがり、2010年までに有効な措置をこうじないと、修復不能になるかもしれない。「カウントダウン2010」という言葉も使われているそうだ。環境保護には政治家や官僚まかせでなく、企業も人も真剣に取り組まないと、大変悲惨な未来が待ちかまえている。午後の部だけで5時間以上の長丁場であったが、危機を再認識させられたシンポジウムだった。
by katorishu | 2008-06-15 01:24