「ホテル家族」公演を見た
2008年 06月 22日
■劇団かに座の公演「ホテル家族」を見る。稽古のときに比べて一段とよくなった。拙作で、執筆時間の少ないなか書いたので、脚本としてまだ改訂すべき点が多々あるが、アマチュア劇団に対する初の書き下ろしである。
■欲をいえばキリがないが、短い稽古のなか、よくここまで仕上げたと感動した。立派な舞台装置から衣装、音楽等々、すべて手作りである。そのことをまず評価したい。
プロの関係者は、あれこれいうが、地域に密着したこういう「文化活動」が、ひとつでも多く生まれることが、日本の劣化をふせぐことになる。打ち上げに顔をだし、そんな意味のことを話した。
■今村昌平監督はかつてぼくにこう語った。「自分の作品を映画評論家やプロを自認する映画関係者がいくらけなしてもなんの痛痒も感じない。それより場末の映画館でセンベイをかじりながら見ていたオバサンに、ああつまんね、といわれたほうがこたえる」
■名言である。一般公開を前提に行うイベントは、不特定多数の「お客」のために行うものである。そのお客たちの判断のほうを重視したいものだ。この観点が「プロ」を自認し自称する人たちに欠けている。うまい下手の問題ではなく、多くの人たちが心をひとつにして懸命につくりあげたものを、それなりに評価することが、今ほど大事なときはない。