コラム


by katorishu
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NHKスペシャル「日本軍と阿片」を見た 

 8月17(日)
■昨日のブログで中国でのアヘン問題について書いたが、本日、NHKスペシャルでこのアヘン問題をとりあげていた。大変、興味深い番組で、よく調べてあるし、それを放送したことの意味は大きい。東條英機が参謀長を務めていた関東をはじめ傀儡政権の南京政府も、アヘンで得た巨利を財政基盤としていたこと……等々を、関係者へのインタビューなどで構成していた。

■アヘンは今もアフガンなどで、軍や生活の資金として大量に生産され、世界にばらまかれている。中米のコロンビアなどでもアヘンが「主要産業」になっているようだ。
 日中戦争はアヘンなしには出来なかった、とアヘン王、里見甫は東京裁判で証言している。アヘンというのは単なる麻薬でななく、政治の道具のひとつといってよい。中国清朝末期の「アヘン戦争」でも、イギリスがアヘンを最大限利用した。被害者は、いつの時代も「庶民」である。
 
■NHKスペシャルはならではのドキュメントで、見応えがあった。NHKはこういう類の番組を優先的に放送してこそ、存在価値がある。
 ところで、本日は北京オリンピックの女子マラソンをテレビの実況中継で見ようと予定していたが、前夜遅くまで(朝方まで)起きていたので、午後、起床したとき、すでにテレビ中継は終わっていた。したがって結果はインターネットで知ったのだが、野口選手の欠場が響いたのか、日本選手は精彩がなく、土佐選手は途中棄権し、中村選手が13位とか。

■当人たちは懸命に頑張ったのだろうが、「見なくてよかった」と思ったことだった。どうも選手本人より、コーチなど周辺の関係者に問題があったと思えてしまう。「金メダル」が重圧になって、練習過多になっていたか、トレーニング法に問題がなかったかも、問われるだろう。人間なので故障は当然予想されるが、多額の金銭をつかって多くの選手のなかから選抜した人間である。当人を責める気はないが、前回、前々回と金メダルをとった種目でもあり、国民の期待は大きく裏切られた。

■選手も関係者もマラソンの勝負にではなく、「重圧」に負けたというべきかもしれない。陸上の100メートル男子の決勝で見せたジャマイカのボルトンの圧倒的に迫力のある華麗な走り。あれを見ただけで、もうオリンピックの陸上はいい、という気もした。
星野監督の野球もかんばしくない成績だし、なにもかもが衰退の兆しを見せているなか、せめてオリンピックで日本の意気をあげてくれれば――と期待もしていたのだが。

■オリンピックの東京開催に、ぼくは否定的意見をもっていたが、こういう状況になったら、東京に誘致したほうがいいと、思い始めている。とにかく、カンフル注射でも打たないことには、経済のいろいろな分野が死に体に近い状態になっていて、壊死になってしまう。警戒水域から危険水域にはいったといっていいだろう。経済停滞のしわ寄せは当然のことながら、もっとも弱い層にいく。
 
■少子高齢化が深刻化するのは、これからの10年20年で、まだ「序の口」である。序の口で、大変だ大変だといっていては、この先どうなるのやら。先行きに「期待」や「希望」を抱かせるために、為政者はなりふり構わず対策を講じる必要がある、と思うのだが。どうも権力者とこれをとりまく層に、本当の意味での危機意識が薄い。政治家の危機意識とは間近に迫った選挙に「落ちるかどうか」の危機意識である。

■町工場のオッサンなら、個人的なことだけを考えていてもいいが、国民に強い影響力をおよぼす高級官僚や政権与党の議員はそれでは困る。北京オリンピック後の中国経済が、どうなるかも、大きな問題だが、この面での対策は出来ていないようだ。
 最近、コンビニのおにぎりが異常に売れているという。一方でコンビニ弁当は大変な落ち込みようだという。サラリーマンなどが昼食の費用を減らしているからだそうだ。

■2005年ごろのある調査では、昼食に平均700円程度かけていたが、07年ごろには500円になり、最近は250円程度しか昼食にかけない人が増えているという。つまりコンビニのおにぎり二つか、一つに飲み物程度ですませているというのである。

■いじましい努力をしているのである。家で弁当をつくってもってくる堅実派もふえているようだが、コンビニのおにぎり一個かカップラーメンだけで昼食をすませていたら、脳がうまく働くのかどうか。節約は結構だが、食は命の根源であり、バランスのとれたものを食べないと。
 朝食や夕食にちゃんとしたものを食べていれば問題はないのだが、昼食をコンビニのおにぎりですませている人は、ほかの食事も貧相になっているのではないか。

■これは必ずしも経済の問題ではないのかもしれない。昼食をけちる人が携帯などで1万2万と料金を払っているのである。昼食に700円平均だせる人も「みんながそうしているから」コンビニのおにぎりですませているのかもしれない。
 経済の停滞は文化芸術面での劣化に結びつく。「腹が減っては戦もできぬ」というが、まして文化芸術、おや、である。もっとも、昔の人は昼飯を抜いてでも本を買って読んだりしたものだが。今は、昼飯をぬいても、無理して携帯の料金を払うのだろう。
 これが世界第二の「経済大国」といわれた日本の現実である。
by katorishu | 2008-08-17 23:05