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 芝居「ザ・パイロット」を見た

 9月21日(日)
■昨日、新宿のシアターサンモールで「ザ・パイロット」を見た。劇作家、宮本研の代表作で、以前に文学座で公演したものを、見ているはずだが、内容はほとんど忘れていた。今回、劇団「朋友」が上演した。長崎に原子爆弾を落としたアメリカ人パイロットの話で、戦後、少々精神の異常をきたし、何度も犯罪を犯すが、アメリカの法廷では「無罪」判決ばかり。

■このパイロットが、戦後の長崎にやってきて、原爆で生じたガレキのニセモノを「記念品」として売っている老婆や、襲来するB29の監視員をしていて失明した男や、日米の混血の美少女などが織りなす群像劇である。精霊流しの踊りや、アメリカンダンスがあり、暗い話を明るくもりあげる。随所に演劇的感興をもりこんだ名作である。

■「今時、原爆でもないだろう」という人がいるかもしれないが、決して忘れてはいけない日本の一大悲劇として、いつまでも後世に伝えていくべきものだろう。随所に心に残る台詞が刻まれ、戦争の愚かさが強く伝わってくる。「国がどんな犯罪を犯しても国は決して責任をとらない。責任をとるのはいつも個人だ」という言葉など、数々の心に残る台詞があった。

■宮本研氏とは何度か雑談する機会を得た。渋谷の東武ホテルに缶詰になっていたとき、宮本氏も缶詰になっていて、朝食のときに数度であったが。痩せていかにも「永遠の演劇青年」らしい風貌だった。氏は伊豆の湯が島温泉にこもって書くことも多かったようだ。白壁荘という宿で、「宮本研の部屋」があると聞いていた。宮本氏が亡くなったあとのことだが、この宿に泊まったとき、宿主が「ここが宮本先生の部屋です」と案内してくれた。重厚な作りの分厚い机が置かれた落ち着いた雰囲気の部屋だった。窓の外から川音が聞こえた。ここで数々の傑作を書いたのか、と感慨深かった。

■今の日本に、さしあたって戦争の脅威はないが、目に見えない「経済戦争」の衝撃が目前に迫っている。アメリカの金融危機である。100年に一度起こるか起こらないかの出来事である、とアメリカの経済政策の重鎮のグリーンスパンが公言しているのである。デリバティブ商品の総額はアメリカだけで、6000兆円を越えるという。これがどこでどう傷んでいるか、金融当局はもちろん、どこも把握できていないのだという。

■相当恐ろしいことである。これが崩壊する可能性もあり、そうなったら、アメリカ経済と深くリンクしている日本はもちろん、中国やヨーロッパなどにも原爆クラスの衝撃波が襲う。1929年の大恐慌など比較にならない衝撃となるかもしれない。アメリカ政府はなりふりかまわず、傷口をふさぐのに必死だが、果たしてうまくいくかどうか。

■日本の年金も相当部分、デリバティブで運営されているとのことで、場合によっては年金の支給年齢が70歳になるかもしれない。悲劇的事態だが、危機の崖っぷちにあるのに、政府の中枢が機能していない。広島、長崎の惨状に劣らない惨劇が、日本の至る所に起こらないことを、せつに願うばかりだ。
 個人的には、このろころ、気の滅入ることが相次ぐ……。
by katorishu | 2008-09-21 22:45 | 映画演劇