コラム


by katorishu
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 タイタニック号になるのはどうやらアメリカのようだ

10月19日(日)
■自分の周囲10メートルほどのことも気になるが、世界のことも気になる。アメリカの金融危機のことである。危機の実相は、いまだわかっていない。表に見えないところで傷ついている数字がどれほどあるか、かなり恐ろしい事態といえる。物づくりの基盤をこわして「金に稼がせる」金融万能システムを、近年のアメリカはつくりあげ、これを「グローバリゼーション」と称して世界にひろめようとした。それが、もろくも崩壊した。つまりアメリカという国を支えていた基盤が崩壊したということである。これが世界にもたらす衝撃波は、今後、深刻度を増すにちがいない。

■そんなアメリカの「金融原理主義」にのって日本というシステムを、「アメリカ式」に組み替えようとしたのが、竹中平蔵氏などが後ろ盾になった「小泉改革」である。バブル崩壊後の「どうしようもなくなった」日本経済を、金融機関の不良債権処理という強行策で乗り切ったことは、まあプラスに解釈できる。しかし、結局は国民に「犠牲」を強いて金融機関をすくったということである。

■強いところが伸びればそれにひきづられて弱い部分や国民一般の生活も向上する。だから、ここはひとまず輸出に強い企業をのばそう――といろいろな恩典をあたえて一部大企業をのばした。「痛みに耐えればきっとよくなる」と小泉氏は絶叫し、それに多くの国民が乗せられた。しかし、結局、中国のトウショウヘイが実施した、まず強いところを強くすれば、その恩恵が下方にもおよぶ「先富論」が失敗したのと同様、強いところをますます強くし、弱いところはますます弱く強者の餌食に――という事態をまねいてしまった。弱肉強食の「獣の社会」になってしまったということである。

■「小泉改革」をもてはやしたマスコミの責任も大きい。それにしても、あんなに簡単にマスコミ情報にのってしまうとは、日本国民の「ナーブ」さにも困ったものである。「ナイーブ」は日本ではプラスに評価されているようだが、欧米では「バカ」ということである。

■昨日、立川のホテルで行われた都立国立高校の同窓会に出席。旧制中学の府立2中(現、立川高校)から「派生」してできた府立19中を母体にしてできた高校で、歴史は古いとはいえないが、近年、「マスコミ関係」で活躍している卒業生が多い。文化活動に力をいれており、都立高校では近年、日比谷、西についで「人気が高い」と校長は話していた。
 昨日の出席者は250人ほど、50代以上が圧倒的に多い。講演をたのまれていたので、マスメディアの現況について、50分ほど私見を話した。さらに自分がなぜ「脚本家・作家」になろうとしたのかについて。

■その日の気分、体調によって、極端に「差」がでるが、昨日は、話していて手応えを感じていた。自分で記すのも気恥ずかしいが、終わって「とっても面白かった」「面白い裏場を知ることができてた」等々、いろいろな人からいわれた。比較的若いマスコミ関係者と名刺交換などをした。同窓会長である杉並区長とも。なにか事をなすには、人脈というのも重要な柱になる、ということを「実行力のある人」はよく知っている。この社会は「人」が動かしているのである。

■幹事から出版した本を販売するといいといわれていたので、ふたつの新刊を計7冊もっていったが、講演後の休憩時間にすぐ売り切れた。寄贈した8冊の旧刊本(売り上げは同窓会に寄贈)もすぐ売り切れ。「20冊ぐらいもってくればよかったのに」と関係者にいわれたが。大量に売れ残るのも、気恥ずかしい。

■三次会に誘われたが、疲れているので、断った。帰りの中央線が遅れた。人身事故だという。飛び込み自殺だろう。
 映画の「大型企画」、すこしづつだが、いい方向に動き出した。ただ、今後の金融危機がどう日本に波及するか、そのへんが大いに気になる。
 グローバリゼーション(アメリカ化)がここまで進んだ今、アメリカの金融危機のもたらす衝撃力は強大だ。本日の「サンデー・プロジェクト」でエコノミストが、1929年の大恐慌のときより深刻ではないのか、と話していた。あのときは、アメリカの製造業はしっかりしていた。しかし、今回はアメリカの製造業は劣化している。ある意味、アメリカは「金融で食っていた」のだが、それが崩壊したので、国を支える基盤がなくなってしまったのである。

■金融システムの崩壊でなく、アメリカという国家の崩壊につながる恐れもでてきた。アフガニスタンに武力侵攻して滅びたソ連のように。
 そんな中、アメリカとの強固な「同盟」で生きてきた「戦後日本」はどうするのか。以前、このブログで日本はタイタニック号のようなものだと記したと記憶しているが、先にタイタニック号になるのはどうもアメリカらしい。よほどしっかりしたリーダーに舵取りをまかせないと、日本も沈没するアメリカの巻き添えになる。アメリカが沈没しないことを、切に祈りたいものだが。
by katorishu | 2008-10-19 22:17